本当に大丈夫?医療保険の将来を展望する

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はじめに

近年、年金制度の維持についての議論が活発になされており、今年はいわゆる「老後2000万円問題」もありました。
確かに、少子高齢化の進展や財政状況などを考えると、年金制度の将来は非常に不透明な状況にあると言わざるを得ません。

しかし、制度の維持が懸念されているのは年金制度だけではありません。
公的な医療保険についても、制度の存続が危ぶまれています。

そこで今回は「本当に大丈夫?医療保険の将来を展望する」と題して、医療保険の将来について考えてみたいと思います。

なぜ制度の存続が危ぶまれているのか?

簡単に言えば、
「出ていくお金(支出)は増えていっているのに、入ってくるお金(収入)が減っていっているから」
ということです。

それぞれの主な原因を見てみましょう。

なぜ支出が増大している?

第一の理由として挙げられるのは「高齢化」です。
医療費のうち、およそ6割は65歳以上の高齢者に対するものが占めています。

また1人当たりの金額で見ても、65歳以上の高齢者の年間医療費は、65歳未満のそれと比べて約4倍となっています。(数字はいずれも2018年に厚生労働省から公表された「2016年度年齢階級別国民医療費」によります)

高齢者には、このように多くの医療費が必要になるわけです。
それに加えて、人口における65歳以上の高齢者の割合(高齢化率)は増え続けているわけですから、医療保険の支出が増大していくのも当然と言えるでしょう。

支出増大の要因は他にもあります。
それは医療の発展によるものです。
近年、MRIやPETをはじめとする高機能の医療機器が開発され普及するようになり、最近では身近にある医療機関でもこのような高機能の機器が使われるようになってきました。
また機器だけでなく薬に関しても、毎年新しいものが開発されています。

もちろん、これらの恩恵は、病気の早期発見や治療成績の向上など、計り知れないものがあります。
しかし、このような高機能の機器や新薬を使用すると、比較的高額の医療費がかかることになります。
このため医療行為の単価が増え、結果として医療保険の支出増大の要因ともなっているのです。

なぜ収入が減っている?

これには少子高齢化と経済情勢という2つの要因が関与しています。
国民全員が公的な医療保険に加入するという制度(国民皆保険)が出来上がったのは、1961年(昭和36年)のことです。
当時は高度経済成長期の真っ只中であり、労働力人口の割合も多い時代でしたので、保険料収入もしっかりと確保できていました。
しかし、近年は少子高齢化に伴う労働力人口の減少に加え、バブル崩壊後の不安定な経済状況もあり、十分な収入を確保できない情勢となってきているのです。

最後に

このような状況の中、私たち一人一人にできることはあるのでしょうか?
なるべく病院にかからなくて済むよう健康管理に気をつける、「コンビニ受診」や「はしご受診」のような無駄な病院通いを改める、なるべくジェネリック薬品を使用するといった取り組みが考えられるでしょう。

また、自助の手段としては民間医療保険に加入するという方法があります。
万が一、自己負担割合が大きく増えるなど公的な医療保険の制度が事実上の崩壊を迎えたとしても、民間の保険に加入していれば、多少は影響を和らげることができるかもしれません。
加えて、公的な保険ではカバーできない部分を広く保障してくれる商品も多くありますので、自分を守る手段として加入を検討してみることをお勧めします。

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