日本の医療保険制度の歴史と世界の制度について

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はじめに

からだの調子を崩したとき、保険証を持って医療機関を受診すると何割かの負担で治療をしてもらえる。
このような日本の医療保険制度はいつから始まったのでしょうか?
また、世界的にはどのような制度があるのでしょうか?
今回は、日本の医療保険制度の歴史や世界的にどのような医療制度があるのかについて紹介します。

制度の歴史

我が国の公的な医療保険制度の始まりは、およそ100年前の大正11年(1922年)に制定された「健康保険法」にまでさかのぼります。
ただし、この制度へ加入することができたのは都市部の工場労働者だけで、当時の全人口のうち約3%にしか過ぎませんでした。
その後、昭和13年(1938年)には富国強兵を目的として「国民健康保険法」が制定され、このときにはすべての国民が制度の対象となりましたが、加入はあくまでも任意であり強制ではありませんでした。
戦後、保険料滞納により当時の運営主体であった国保組合の消滅が相次いだことや、社会保障制度の充実を求める声が大きくなったことなどにより、制度の運営主体が組合から地方自治体へ移管されるとともに、1957年には厚生労働省が「1960年までに全国民が制度加入」という目標を設定。
その結果、1961年にはすべての国民が制度に加入し、世界に誇る「国民皆保険」が達成されることとなったのです。

国による制度の違い

世界の医療保険の制度は、国によってさまざまに異なりますが、大まかに以下の3つの方式に分けることができます。

民間保険がメイン

よく知られているところでは、アメリカがこのパターンに該当します。
アメリカの場合、公的な保険制度は皆無ではありませんが、所得が少ない人や高齢者あるいは障がい者といった社会的弱者に対するものが主で、それに該当しないほとんどの国民は全額自腹で医療サービスを利用しなければなりません。
このため、多くの人が民間の医療保険に入っており、2014年からは加入そのものが義務となっています。

主として税金で運営

イギリスやイタリアなどの国が該当します。
イギリスでは、政府の運営によるNHS(国民保健サービス)が国民のみならず長期滞在のビザ所有者にまで提供され、原則的に無料で医療機関を受診することができます。
ただし、受診できる医療機関は地域ごとに決められており、自分で選ぶことはできません。

社会保険方式で運営

加入者が支払う社会保険料により国が運営する方式で、我が国の制度はこれに該当します。
日本以外では、フランスやドイツでもこのような方式が採用されていますが、かかった医療費のうちどれくらいを自分で負担するのかなどといった点は、国によって変わります。

最後に

今回は、日本の医療保険制度の歴史や世界的にどのような制度があるのかについて見てきました。
心身の調子を崩したりケガをしたりしたとき、保険証を持って病院に行けば誰でも高水準の治療を受けることができる。
おまけに、費用の大部分は自分で負担しなくてもいい。
ついつい忘れてしまいがちですが、このような日本の医療保険制度は世界的に見ても非常に優れたものであり、2000年にはWHO(世界保健機構)から総合点で世界のナンバーワンと評されています。

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