医療費の明細書って何のため?~被保険者と医療機関との違いと目的~

c096e2f8d03911909fd104c7e0ef412c_s

はじめに

病院などの医療機関を受診した際、自分が受けた医療行為・処方された薬剤・検査内容などの項目名や点数が記載された明細書を受け取ったことがありますよね?
医療機関にはこの明細書を発行することが原則義務化されています。
その目的は「医療の透明化」と「医療費の抑制」です。
自分が受けたそれらの詳細を知ることができるうえ、被保険者が医療や医療費への関心を高めることも期待できるとされています。

レセプトとは?

明細書と書いてきましたが、冒頭で書いた明細書は「診療明細書」という種類で、これは被保険者のためのものです。
その他にも

・診療報酬明細書
・調剤報酬明細書
・訪問看護療養費明細書

といった種類があります。
これらは被保険者に医療費を請求するためのもので、医療機関などでは「レセプト」と呼ばれています。被保険者の保険の種類に応じて、それぞれ対象の機関で審査がなされます。

国民健康保険・後期高齢者医療制度の被保険者の場合は、各都道府県の国民健康保険団体連合会へ提出するためであり、社会保険の被保険者の場合は社会保険診療報酬支払基金へ提出するためのものです。

医療機関による水増し請求を防止する目的もあるのですが、実はレセプトにはもう一つ重要な目的があります。

NDBデータの目的

NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)は、国民の医療動向を評価し、加えて保健医療を対象とした各種政策の立案や各種研究するうえで、非常に有用なデータと位置づけられています。
「高齢者の医療の確保に関する法律」の指針を土台として、平成23年以降、医療機関は行政機関や研究者などに対してNDBデータを提供してきました。

日本全国で、どのような診療・調剤・看護などの医療行為(項目・点数)がどのような人達(属性)に提供されているか、その集計表を厚生労働省は作成し公表し、国民に医療の提供実態や特定健診等の結果をわかりやすく示すことに役立てられています。

しかし、このNDBデータを用いた統計資料が国民から認知・浸透されているとはいえません。現状では知らない方のほうが多いでしょう。
というのも公表がされたのは平成28年からであり、国民がそれを利用するのは始まったばかりです。
NDBデータは国民の共有財産です。日本の医療ビッグデータとしてヘルスケアへの関心を高め、より多くの国民に役立つために、また活用を進めるべく国民からの要望をふまえた集計項目や範囲の拡大を行い、さらなるデータの充実を目指しているといいます。

さいごに

平成29年の法改正により、医療費控除の適用を受ける場合に必要な手続き・提出書類が変わりました。
これまでは診療明細書と共に渡される「領収書」を確定申告書に添付・提示していましたが、改正後の現在では「医療費控除の明細書」(領収書に基づき必要事項を記入したもの)を確定申告書に添付して提出することが必要になります。
この場合は、領収書を確定申告期限から5年間保存しなければなりません。
「医療費控除の明細書」の記載内容を確認する必要があれば、税務署から領収書の提出・提示を求められることがあるためです。
ちなみに、各要件を満たす「医療費通知」を用意できる場合は、「医療費控除の明細書」の記入を簡略化することができ、領収書を保存する必要もありません。
医療費通知は健康保険組合の管轄ですので、「控除を利用したいけれど領収書を保存するのは面倒だ!」という方は問い合わせてみてください。

関連記事

ページ上部へ戻る