医療保険と介護保険の併用について

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はじめに

ご自宅で療養生活、あるいは施設に入所している間に、医療と介護の両面からサポートを受けるケースがあるかと思います。
こういった場合、医療保険と介護保険を併用して受けることは可能なのでしょうか?
この記事では、公的の医療保険と介護保険の併用について紹介していきたいと思います。

公的医療保険と公的介護保険の特徴

それではそれぞれの特徴を確認しましょう。

公的医療保険の特徴

ご存じのとおり、公的医療保険は保険証を提示することで、日本全国どこでも医療費の自己負担1~3割で病院受診することができます。
また、加入者の年齢や仕事によって、健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度の3つに分類されます。

公的介護保険の特徴

こちらは、要介護・要支援の状態にある方が、一定の自己負担のみで必要な介護サービスを受けることができます。
また、年齢によって被保険者が区分されます。
65歳以上が第1号被保険者、ガンなど16疾病で介護が必要となった40~64歳の方が第2号被保険者となります。
介護サービスを受けるためには、介護認定を受ける必要があります。

併用できるのか?

結論から申し上げますと、両者の併用は原則的には認められていません。
しかし、ケースによっては可能となる場合があります。
その場合とは、医療と介護どちらかを優先させて受けるかたちとなり、介護認定を受けている方の場合は、通常介護保険が優先されます。
しかし、厚生労働省が定めている末期の悪性腫瘍・多発性硬化症・重症筋無力症などの疾患、急性増悪の方で特別訪問看護指示書が出ている方は医療保険が優先されます。
そしてそれらの判断は、担当医師にゆだねられています。

訪問看護とリハビリの優先順位

それでは、自宅で療養中の方が受けられるサービスの中から訪問看護とリハビリを例に挙げて見ていきましょう。

訪問看護の場合

公的医療保険では、訪問看護を年齢制限なく受けることが可能です。
また、65歳以上の方で介護保険を利用している方も、医療保険が適応されるケースがあります。
訪問看護サービスを開始するには、主治医からの訪問看護指示書が必要となります。
また、特別看護指示書が出されると、1週間から2週間程度の連続した訪問看護サービスを受けることができます。
これは退院直後から利用できるので、日常生活へ戻っても安心して療養生活を送ることができます。

リハビリの場合

リハビリは、医療保険と介護保険の両方で提供されているサービスです。
それぞれの違いは、それが病気の治療のためなのか、そうでないのかでどちらが優先されるかが決まります。
病気の治療や回復のためのリハビリであれば、医療保険が優先されます。
一方で、年齢による体の衰えを回復させる目的であれば、介護保険が優先となります。

また原則として、リハビリにおいて同じ診断名で医療保険と介護保険のサービスを受けることはできません。しかし、診断名が変わることで併用が可能となるケースがあります。
例えば、医療保険のリハビリを優先的に受けたのち、引き続き介護保険でのリハビリを受けるケースがあります。
ただし、この場合は医療保険のリハビリ終了後、1か月の待機期間を設けて、介護保険のリハビリを受ける必要があります。

まとめ

今回は「公的な医療保険と介護保険の併用が可能か?」という点についてご紹介しました。
原則的には併用はできませんが、ケースバイケースで対応可能になることもあります。
そして、このとき優先されるのが医療保険です。
ただし注意すべき点が一つ。
それは、利用料の負担割合の問題です。
75歳未満の方が医療保険で訪問看護やリハビリを受けると2~3割の負担となりますが、介護保険では1割負担になるという点です。
決定権は主治医にありますので、しっかりと確認しましょう。

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