厚生年金基金の分配金とは?

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はじめに

年金と言えばもちろん個人年金保険などもありますが、一般的には国民年金あるいは厚生年金といった公的な年金のことを思い浮かべますよね。
しかし、年金制度はこれだけではありません。
厚生年金基金と呼ばれる制度があります。
今回は、この厚生年金基金の分配金について説明します。

厚生年金基金とは?

厚生年金基金を作って運営するのは、国ではありません。
単一もしくは複数の企業が集まって設立する民間の特定法人が、運営や管理を行っています。
この点が国民年金や厚生年金とは大きく異なる点です。
したがって、会社勤めをしていれば誰でも入れるわけではなく、加入するには勤めている会社が基金に入っている必要があります。
逆に言えば、勤め先の会社が加入していれば、そこで働いている人も自動的に厚生年金基金に入るということになります。

では、運営はどのように行われているのでしょうか?
厚生年金基金では、国から借りた厚生年金の一部に企業が出したお金を上乗せして運用を行い、その運用益を国民年金・厚生年金に上積みする形で加入者に給付してきました。
つまり、厚生年金の一部については、本来なら国が行うべき運用の代行をしていたわけです。
しかし、バブルが崩壊してからは運用成績の悪化などに伴って基金そのものの財政状態も厳しくなってきており、運営が立ち行かなくなるケースも増えてきました。
このため、2002年には「確定給付企業年金法」が施行されて、「代行部分の国への返納」と「上乗せ部分の確定給付企業年金への移行」ができることになりました。
さらに2014年の「改正厚生年金法」施行以降は、新たに厚生年金基金を立ち上げることができなくなっただけでなく、状態の芳しくない厚生年金基金に対しては5年以内の解散もしくは確定給付企業年金への移行が促進されることとなったのです。

分配金とは?

厚生年金基金が解散するとき、代行部分のお金は国から借りているものですから、もちろん国に返納しなければなりません(この分は後に老齢厚生年金として支給されます)。
そのうえでまだ基金にお金が残る場合には、そのお金を加入者や受給する権利を持つ人に分配することになります。
これが分配金で、その受け取り方としては次の3つの方法があります。

選択一時金

基金の解散時に受け取る場合がこれに該当します。
基金にどれくらいのお金が残るかが確定していない状況で支払われるものであり、次の「一時金」よりは額が少なくなります。

一時金

基金にどれくらいのお金が残るかが確定した後で支払われ、「選択一時金」よりは額が多くなります。
なお、選択一時金、一時金とも「一時所得」に該当しますので、金額によっては確定申告をし所得税を納めなければならない場合があります。

年金

確定拠出年金あるいは確定給付企業年金へ移して、老後に年金として受け取ることもできます。
また、企業年金連合会に預けて「通算企業年金」という形で老後に受け取る方法もあります。

まとめ

今回は、厚生年金基金とその解散に伴う分配金について説明しました。
なお今後、財政状態が健全な一部の基金をのぞき、ほぼすべての厚生年金基金は解散となる見込みです。

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