国民年金を増額させる方法

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はじめに

厚生労働省が公表している平成30年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金の受取額は平均でひと月あたり約56000円でした。
夫婦とも国民年金のみに加入している世帯の場合、他に収入源がなければひと月あたりの収入は約112000円ということになります。
これに対して支出の平均は、無職の高齢夫婦の場合、ひと月あたり約265000円でした(総務省統計局公表 平成30年「家計調査報告 家計収支編」より)。
数字だけを見てみると、国民年金だけで生活していくにはかなりの困難が予想されそうです。
そこで今回は、この国民年金を増額させる方法について考えてみたいと思います。

増額させる方法

では、さっそく具体的な方法について見ていくことにしましょう。

国民年金基金

口座振替で掛金(年齢・性別・タイプなどによって異なる)を支払っていけば、決まった金額が通常の年金に上乗せされて給付されます。
もちろん、支払った掛金は所得控除の対象となります。
ただし、一旦加入すると途中でやめることは原則的にできません。
また「制度廃止の方向で動いている厚生年金基金のようになるのではないか?」と制度の存続を不安視する声もあります。

付加年金

保険料に月々400円ずつをプラスして支払うことで、通常の年金に「200円×支払った月の数」の金額が上乗せされる制度です。
申し込みは市区町村の年金担当窓口で行い、国民年金基金とは違って途中でやめることも可能です。
また400円という少額ですので、国民年金基金よりは始めやすいと言えるでしょう。
なお、国民年金基金・付加年金ともに厚生年金に加入している方(第2号被保険者)やその方に扶養されている配偶者の方(第3号被保険者)は、制度を利用することができませんのでご注意下さい。

受け取り年齢の繰り下げ

年金(老齢年金)を受け取ることができるのは通常65歳からですが、申請することでこれを遅らせれば、その後に受け取る年金額を増額(ひと月遅らせるごとに0.7%・最高70歳まで)することができます。
例えば、2020年度の老齢基礎年金(国民年金)支給額の満額は781700円/年ですが、これを70歳で繰り下げ受給するとなると42%増額されますので1110014円/年ということになります。
実に328314円/年も受取額が増えることになるわけです。

まとめ

ここまで、国民年金の受取額を増額させる方法について紹介してきました。
ご自身の状況やニーズに合った方法を検討する際、参考にしてみて下さい。
なお、納付期間が受給資格の基準に足りていないケースや、満額受給の基準に足りていないケースの場合には、今回紹介したもの以外に任意加入という制度もあります。
この制度を利用すれば、60歳以降も保険料を支払うことで、受給資格を得ることができたり、満額受給に近づけたりすることが可能となりますので、該当する方はぜひ検討してみて下さい。

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