非正規雇用の厚生年金と会社負担について考える

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はじめに

厚生年金被保険者の場合、保険料は勤め先と労使折半となり、会社が半分負担してくれることはよく知られていると思います。
国民基礎年金被保険者の場合、厚生年金被保険者と年収が同じであれば、2倍保険料を納めていることになります。
というように、厚生年金は国民基礎年金よりも優遇されているのが分かると思います。
しかし、自身が事業主である自営業者は仕方ないとしても、会社に勤める非正規雇用者は厚生年金に加入できないのでしょうか?
価値観や働き方が多様化した現代、非正規雇用の労働者数は約4割にまで上っているというデータもあります。
また、そもそも厚生年金では会社が半分保険料を負担してくれるのは何故なのでしょう?

非正規雇用でも加入できる?

厚生年金といえば正社員というイメージがありますよね。
しかし結論からいうと、一定の条件を満たせば非正規雇用者でも厚生年金に加入できます。
2017年の社会保障拡大により、非正規雇用者もその対象になりました。
とはいえ、先程の通り一定の条件があります。

(1)1週間の労働時間が20時間以上
(2)1ヶ月の給料が88,000円以上
(3)見込み雇用期間が1年以上
(4)学生を除く

加えて、以下のいずれかに該当すること

・従業員数が501人以上の会社に勤めている
・従業員数が500人以下の会社で勤め、社会保険に加入について労使で合意がなされている
(引用元:厚生労働省 社会保険の適用拡大)

上記のこれら全てをクリアしなければ、現状、非正規雇用者は厚生年金に加入できません。

この社会保障拡大の背景には寿命が長寿化していることや、国民基礎年金の受給分、老齢基礎年金だけでは老後の生活が困窮するということが要因の一つにあるようです。
また、2019年から「対象をさらに拡大しよう」という動きがあり、2022年、2024年をめどに年金制度改正が検討されています。

会社が負担するワケ

さて、「なぜ会社が負担してくれるのか?」を考えていきましょう。
例えば、厚生年金の保険料2万円を天引きされている人がいたとします。
実際には4万円かかっているわけですので、半分の2万円は会社が負担してくれています。
これがもし直接、国・役所から4万円請求がきたらどう思うでしょうか。

「高すぎない?」
そう思う人もいるはずです。
ちなみに厚生年金の仕組みは「会社が折半して負担せよ」という法的強制力のあるものです。つまり、国が現行の年金制度に対する印象を少しでも良くするために、やむなく会社は負担しているという側面があるのです。

会社にしてみれば、「給料を上げてやりたいけど、負担する保険料も増えてしまうし、一度給料を上げると下げにくい・・・」というように給料が上がりにくい状態になっているともいいます。

さいごに

非正規雇用者や短時間の仕事、独身のパートタイムで働く女性達はかつて、厚生年金に加入することができませんでした。
「社会保障拡大・加入条件の引き下げ」により、国民基礎年金被保険者数は減少する一方、厚生年金被保険者は増加しています。
被保険者にとっては保険料の負担が軽くなり、老後に貰える年金受給額が増えるので、好ましいことであるのは間違いないでしょう。
国は高齢化社会を見据えて、今後もより老後の不安を少なくしていこうという方針を固めています。私たちも今後もそれらについて注目していきましょう。

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