年金は出ない?若い世代を中心に広がる年金への不安

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はじめに

「年金は本当にもらえるのだろうか?」「もらえたとしても払った分より少ないのではないだろうか?」
年金について考える時、常について回るこういった不安はぬぐいきれません。

2018年のデータではありますが、実に約8割の人が老後の生活設計、お金や年金について不安を感じているという調査結果が出ています。
(日本FP協会,世代別比較 くらしとお金に関する調査2018)

将来もらえる年金受給額が今よりも減ってしまう可能性は残念ながら非常に高いです。
しかし、「年金が出ない」というのは現実的ではないでしょう。

年金は何でできているのか?

年金について少しおさらいをします。
年金は1年毎に歳入と歳出の収支決算がなされていて、歳入の収入源は3つあります。

・年金保険料
・国庫金
・年金積立金の資産運用による収益

これをみれば分かる通り、年金は全て保険料で賄われていると思いがちですが、実は違います。
正確には保険料だけでは年金を給付できないというのが現状です。
国庫金というのは国のお金。我々が支払っている血税が保険料だけでは足りない部分を補っています。

また、年金は年間の収支決算が黒字だった場合、年金積立金というところに加算されていきます。2019年の収支決算は厚生年金・国民年金ともに黒字決算で、約1兆6000億円が積立てられました。年金積立金はGPIFという独立行政法人が資産運用をしており、その収益は年金の歳入とされます。

しかし、これからより少子高齢化の波が押し寄せてくるというのに、今ですら保険料だけでは賄いきれないとなると不安になりますよね?

そこで「財政検証」という言葉が出てきます。

100年安心を支える財政検証

財政検証は5年毎に行われています。
今後100年間、一定の基準をクリアして健全性を確保しながら年金が運営できるか確認するためのものです。
この一定の基準というのは以下の通りです。

・100年後に年金の年間歳出に相当する年金積立金が残留していること
・次の財政検証まで年金給付水準は所得の50%以上を維持(以降、所得代替率※と呼びます)
※現在の所得代替率は61.7%

2019年の財政検証では、財政のバランスが取れるまで機械的に給付水準調整(マクロ経済スライド)を進めた場合、2058(令和40)年度の所得代替率は44.5%にまで落ちるという結果でした(経済:ケースⅤ 人口:中位)。

つまり、40年後の年金給付額は今よりも約2割減少するということです。

減少に対しての改善案として出されたのが

・厚生年金の適用範囲を拡大
・年金受給開始年齢の延長
・年金保険料支払い期間の延長
・職に就いている高齢者の年金(在職老齢年金)の緩和・廃止

となっています。

厚生年金の適用範囲拡大(1050万人増)をするだけでも所得代替率は44.5%から49.0%まで増加し、これら全てを行った場合は、より高い給付水準を維持することができます。

さいごに

年金は破綻するといわれることもありますが、現状、まだ危機的な状況ではないということができると思います。
しかし、今後これを維持していくためには必ず誰かに痛みが伴うような改革が必要になっていくでしょう。
ちなみに、年金は将来の老後資金だけではなく、不測の事態が起きた際の保険のような機能(障害年金・遺族年金)も有しています。
自分のためにも、困る人が出てこないためにも保険料はしっかりと納付するようにしたいものです。

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