年金世代間格差 世代が世代を支える仕組みへの不満

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はじめに

年金は賦課方式です。
現役世代が納めている年金保険料は将来、自分が受け取るためのものではなく、退役世代を養い「世代が世代を支える」仕送り型の仕組みです。

しかし各世代には「人口の差」があり、また現在は「少子高齢化」という深刻な問題があります。
年金においては、この少子高齢化に加えて賦課方式という仕組みが重なり、若い世代は「支払い損」をするといわれています。
納めなければならない年金保険料が増える一方、受け取れる年金受給額は少ないのです。

増え続ける高齢者

65歳以上の高齢者の人口は3588万人で、総人口に占める割合は28.4%と過去最高を更新しています。(総務省統計局,高齢者の人口,2019年9月15日現在)

高齢者は今後も増え続け、2025年には30.0%となり、第二次ベビーブーム期1971年~1974年に生まれた世代が65歳以上となる2040年では、35.3%になるという試算が出されています。

なぜ賦課方式なのか?

支える側と支えてもらう側のバランスが現在進行形で崩れていくのですから「なんで賦課方式を続けるのか?積立方式が良い!」という方が多いのではないでしょうか。

年金は長期間にわたって納めるもので、積立方式の場合、インフレによってお金の価値が下がった場合に、受け取れる年金受給額が減ってしまうのです。

少し極端な例ではあるのですが、1965年では牛乳瓶1本20円だったものが2015年では125円となっています。(小売物価統計調査)
ここまでいかないにしても現在の100万円は、将来80万円の価値しかないかもしれません。もしかするとそれよりも下・・・なんてことも十分考えられます。

また現在、年金をもらっている世代、これから年金をもらい始める世代というのは、実質的には「私的扶養」をしてきた(家族で同居して経済的に支え合っていた)世代でもあります。
現代は、都市への生産年齢人口の流入が多いことや家庭形態の変容によって、子が私的扶養をするのは難しくなっており、年金はこれを補う「社会的扶養」です。

世代間格差是正、安定した年金運営をするために

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、我々が納めている年金保険料を資産運用しています。
若い世代の負担を減らす・年金の運営をより安定的なものにするために設立された法人です。
HPで収益が公表されており、簡単に確認できるようになっています。
過去の運用実績では黒字傾向ですが、2019年度の収益率は-5.20%、収益額は-8兆2,831億円でした(大丈夫か?)。

さいごに

現行の年金制度のあり方は、特に若い世代にとって、お金だけを見るとどうしても不平等を感じずにはいられません。
個人積立年金を利用して所得税を節税する方法もあるのですが、結局のところ一階・二階建て部分の年金保険料納付は義務であり強制です。
これは政治でしか変えられないことです。とはいえ年齢別の人口では高齢者が圧倒的に多くなるような情勢では、それもなかなか難しいことなのでしょう。
年金世代間格差は難しい問題です。
ただ、若い世代が生まれた時から当たり前のようにある豊かなインフラは、先代、先々代が必死に築き上げてきたものであることを、頭の片隅に置いておくことも必要なのではないか?私はそう思いました。

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