個人年金保険の財産分与について

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近年増えているとされるのが熟年夫婦の離婚。
こういうところにも多様化する夫婦の形が現れてきているのかもしれません。
ところで、年齢を重ねてからの離婚で気になる点と言えば老後の生活ですよね。
厚生年金の場合は、結婚生活に相当する間の額については合意により、あるいは時期によっては申請することで自動的に分割できるようになっています。
そして、その背景には財産分与という考え方があります。
では、個人年金保険の場合はどうなるのでしょうか?

財産分与とは?

本題に入る前に、そもそも財産分与とは何かという点をはっきりとさせておきましょう。
ある夫婦のご主人が、
「俺が稼いできたのだから給料はすべて俺のもの、そしてこの家や家の中のものも俺の稼ぎで買ったのだからすべて俺のもの」
と言ったとしたらどうでしょうか?
もしかしたら、今でもこんな考え方の人がいらっしゃるかもしれません。
しかし、ひと昔のことならいざ知らず、いまどきこんな考え方が通用するわけもありませんよね。
なぜなら、結婚期間中に築き上げた財産は、特別な事情でもない限り一般的には夫婦2人で協力して手に入れたものとされるからです。
したがって、もしその2人が離婚するのであれば、結婚期間中に築いた財産は貢献度などに応じて平等に分けなければなりません。
これは、浮気や暴力などどちらか一方に重い責任があるケースでも同じです。
それによって財産を分ける割合が増減することは、基本的にはありません。
以上が財産分与という考え方です。

個人年金保険の財産分与

では、この財産分与は個人年金保険にも適用されるのでしょうか?
結論から先に言うと適用されます。
ただし、その対象となるのは保険料のうち結婚期間中に支払った額に相当する分だけです。
そのため結婚する前から加入していた場合は、それまでの間に支払った額に相当する分は対象とはなりません。
たとえば、加入していた個人年金で300万円の解約金を受け取ったとします。
そして、保険料の払込期間は25年、そのうち結婚していた期間が15年としましょう。
すると、結婚期間に相当する分は300万円×15/25で180万円となり、この180万円を90万円ずつといった形で分け合うことになるわけです。
個人年金保険以外の生命保険などについてもほぼ同じような扱いとなります。

最後に

今回は、夫婦が離婚する場合には個人年金保険も財産分与の対象となることを見てきました。
なお、公的な年金である厚生年金の分割においては、分割した分が通常の年金に上乗せされて支給されることになります。
しかし個人年金保険の場合には、そのような対応は難しいでしょう。
そのため財産分与した個人年金をどのようにして清算するかについては、双方で話し合って決める必要があります。

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