年金にもポータビリティがある?

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はじめに

今となってはすっかり昔話になりましたが、かなり以前には携帯電話の会社を変えるときには電話番号も変わってしまうというのが当たり前でした。
しかし、現在では、ほとんどの場合に会社を変えても番号はそのまま使えるようになっています。
いわゆる番号ポータビリティと呼ばれる制度が普及したおかげですね。
これにより、携帯電話の会社を変えるたびに、会員登録をしている電話番号を変更したり、知り合いに番号の変更を知らせたりする必要がなくなりました。
昔を知る人にとっては、かなり便利になったと感じられていることでしょう。
ところで、このポータビリティという制度、年金にもあるのはご存知でしたか?

企業年金のための制度

年金にもポータビリティがあると言っても、私たちがふつう「年金」という言葉を聞いて想像する国民年金や厚生年金などの公的なものの話ではありません。
これは企業年金の中で設けられている制度になります。
企業年金とは私的年金の一種で、掛金が運用され、60歳以降にその運用益を受け取ることができるというのが一般的な形です。
つまり、企業における福利厚生制度の一つということになります。

この企業年金の代表的なものとしては、確定給付年金と確定拠出年金があります。
前者は、あらかじめどれくらいの額がもらえるか(つまり利率)が保証されており、運用は会社側が行うことになっています。
一方、後者は自分で運用を行います。
このため、将来どれくらいの額を受け取ることができるかは自分次第とも言え、場合によっては元本割れすることもあります。
なお、上記以外の企業年金としては厚生年金基金というのもありますが、2014年以降は新規設立が禁止されたり、他の制度への移行が促されたりしたため、現在ではその数がかなり少なくなっています。

ポータビリティがある理由

ある会社に入社したとしても、定年まで勤め続けるかどうかはわかりません。
場合によっては他の会社に転職することもあるでしょうし、起業するケースもあるでしょう。
特に最近ではこのような事例が増えています。
このような場合、それまで積み立ててきた企業年金の掛金は、一時金として受け取るのがふつうです。
しかし、このお金は、本来なら定年後の生活資金とすることが目的であるもの。
それ以前に受け取ってしまっては、当初の目的を果たせないことになってしまいます。
そこで、別の会社に転職したり起業したりするときには、転職先の企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などにそのお金を移すことができるよう、この制度が設けられているのです。

最後に

実際に今回紹介した制度を利用するための手続きは各社によって異なります。
また、制度利用にあたっての申し出には期限が設けられています。
このため、ポータビリティ制度を利用するときには、できるだけ早めに勤め先の担当者まで相談されることをおすすめします。

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