- 2025-7-27
- 個人年金・年金

「年金って税金がかかるの?」と驚く方もいるかもしれません。実は、公的年金も立派な“所得”として扱われるため、一定の金額を超えると所得税や住民税が課されます。退職後の収入源として多くの人が頼りにしている年金ですが、その手取り額は課税制度によって左右されることがあるのです。この記事では、公的年金と所得税の関係をわかりやすく整理し、損をしないために知っておきたい制度や対策を解説します。
目次
- 年金が課税対象になる理由
- 年金にかかる所得税の仕組み
- 非課税になる年金額の目安
- 年金課税に備えるためのステップ
- まとめ
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年金が課税対象になる理由
公的年金も、収入である以上「所得」とみなされ、所得税の対象になります。現役時代の給与収入に比べれば少額に見えるかもしれませんが、年金収入が一定額を超えると課税対象となります。これは、国の税制上の基本的な仕組みに基づいています。
年金収入がまったくない人や、ごくわずかの受給であれば課税されない場合もありますが、会社員として長く厚生年金を納めていた人や、企業年金などを併用している人にとっては、課税対象となる可能性が高くなります。
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年金にかかる所得税の仕組み
年金に対する所得税は、「雑所得」として計算されます。年金収入の全額が課税対象となるわけではなく、「公的年金等控除額」と「基礎控除額」を差し引いた後の金額に対して課税される仕組みです。
たとえば、65歳以上の人で年金収入が130万円であれば、年金等控除と基礎控除の合計が130万円(公的年金等控除:110万円+基礎控除:48万円 → 一部制限あり)程度になるため、課税対象額は0円となり、所得税はかかりません。
一方、年金収入が200万円を超えると課税対象となる場合があります。さらに、年金以外の収入(パート収入、不動産収入など)がある場合は、それらを合算して課税所得が計算されるため、注意が必要です。
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非課税になる年金額の目安
おおまかに言えば、年金しか収入がない場合であれば、次の金額までは所得税はかかりません。
- 65歳未満の場合:約108万円まで非課税
- 65歳以上の場合:約158万円まで非課税
このラインを超えると、超過分に対して所得税がかかります。ただし、医療費控除や配偶者控除などを使えば、課税対象額を減らすことができる場合もあります。逆に、年金のほかに企業年金や退職金、株の売却益などがあると課税ラインを簡単に超えるため、事前の把握が不可欠です。
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年金課税に備えるためのステップ
まずは、自分の年金受給額を正確に把握しましょう。ねんきん定期便や「ねんきんネット」を活用すれば、将来の年金見込み額を確認することができます。また、すでに年金を受け取っている方は、年金支払通知書をもとに前年の収入額と控除額をチェックしましょう。
次に、課税対象となるかどうかを試算します。年金控除額と基礎控除額を合算し、自分の年金収入から差し引いた額が0円以下であれば、所得税はかかりません。もし課税対象になりそうな場合は、可能な範囲での節税対策を講じるのが得策です。
たとえば、高額な医療費を支払った年には医療費控除を活用できます。また、配偶者がいる場合は配偶者控除や配偶者特別控除の適用を検討しましょう。さらに、確定申告をすることで、源泉徴収された税金が還付されるケースもあります。
加えて、年金以外の収入についてもバランスを取ることが大切です。年金収入が課税ラインギリギリの場合、副収入を抑えることで課税対象にならないよう調整できることもあります。老後の生活資金設計の中で、税金負担を最小限に抑える工夫をすることが重要です。
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まとめ
年金は「もらえる金額」だけでなく、「手取りでいくら残るか」が老後生活の現実を左右します。年金に所得税がかかるという事実を知らずにいると、想定よりも少ない手取りで生活設計が狂ってしまう可能性もあります。
だからこそ、今のうちから自分の年金収入と課税状況を把握し、必要に応じて節税の工夫をしていくことが、安心して老後を過ごすための大切な一歩となります。税制や制度は年々変化するため、最新の情報を定期的に確認しながら、自分に合った対策を講じていきましょう。