公的医療保険における自己負担の推移

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はじめに

日本では国民皆保険制度が導入されており、その適用範囲内であれば自ら負担するのはかかった医療費のうち数十%だけで済むようになっています。
この記事ではその負担割合の推移について説明します。

自己負担の推移

それでは保険の種類別に自己負担の推移を見てみることにしましょう。

被用者保険

被用者保険とは会社員や公務員などお勤めの方が加入する制度のことで、代表的なものとしては協会けんぽや組合健保が運営する健康保険などがあります。
この制度ができたのは昭和2年(1927年)のことで、当時の自己負担は0円でした。
昭和18年からは、定額の自己負担が適用されるようになり、昭和59年までその状態が続きます。
しかし、昭和59年からは1割負担に変更。
その後、段階的に割合が引き上げられ、平成15年以降現在までは3割負担となっています。

なお、制度設立当初、保険給付の対象とされたのは本人のみで、家族(被扶養者)は対象とはなっていませんでした。
被扶養者が対象となったのは昭和15年からです。
その場合の自己負担は5割でしたが、昭和48年に3割に引き下げられ現在に至っています。

国民健康保険

制度ができたのは昭和33年。
当初の自己負担は5割となっていました。
国民皆保険制度が導入された昭和36年には世帯主のみ3割に引き下げ。
その後、昭和43年からは世帯主以外の家族も3割負担となり、現在に至っています。

高齢者

70歳以上の高齢者に関する国の制度としては、昭和48年に老人医療費支給制度が設立。
この制度による自己負担は原則0円でした。
しかし、昭和58年からは老人保健制度が導入され、自己負担が適用されます。
その内容は当初、外来が1ヶ月400円、入院が1日300円というものでしたが、後に徐々に引き上げられていくこととなりました。
そして、平成20年からは後期高齢者医療制度がスタート。
それ以降、現在までは原則として70歳以上が2割、75歳以上が1割の負担という形になっています。

今後はどうなる?

現在のところ、国から自己負担引き上げに関する公式なアナウンスはありません。
しかし、公的医療保険制度の財政状況はかなり厳しいものとなっています。
その要因としては新しい技術の導入による医療費の高騰も挙げられますが、やはり少子高齢化の進行が大きな影響を与えていることは間違いないでしょう。
しかも、高齢者の増加および現役世代の減少は今後もしばらく続いていくと予想されています。
制度の運営はますます厳しくなっていくと考えられるのです。
そう遠くない将来に自己負担の引き上げなどが行われたとしても不思議ではありません。
そうなってから慌てることのないように、何らかの自助策を講じておく必要性が高まっていると言えるでしょう。

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