医療保険の適用範囲~公的制度でカバーされる治療とされない治療~

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病気やケガで病院にかかったとき、「この治療は保険でカバーされるのだろうか」と不安になることは少なくありません。日本では国民皆保険制度により、ほとんどの人が医療保険の恩恵を受けていますが、その内容を正しく理解していない人も多いのが現実です。本記事では、医療保険がどのような治療に適用されるのか、また適用されないケースはどのようなものかをステップ形式で丁寧に解説します。

目次

  1. 医療保険制度の基本
  2. 保険適用の判断基準とは
  3. 保険が適用される代表的な治療
  4. 保険が適用されない主な医療行為
  5. 自己負担の割合と軽減制度
  6. まとめ
  1. 医療保険制度の基本

すべての国民が何らかの公的医療保険に加入しています。大きく分けると、会社員などが加入する「健康保険」、自営業者などが加入する「国民健康保険」、75歳以上の人が対象の「後期高齢者医療制度」の3つが主な枠組みです。この制度により、医療費の多くが保険でカバーされ、本人は年齢や所得に応じた割合のみを自己負担する仕組みになっています。

  1. 保険適用の判断基準とは

医療保険が適用されるには、いくつかの明確な基準があります。第一に、治療が「診療報酬制度」に基づいて実施されていることが必要です。つまり、厚生労働省が定めたルールに従った治療でなければなりません。第二に、美容目的などではなく、「疾病の治療や予防」が目的である必要があります。第三に、治療に使用される薬剤や医療機器も、国の承認を得ている必要があります。これらの条件を満たす治療に対してのみ、医療保険が適用されます。

  1. 保険が適用される代表的な治療

多くの人が日常的に受ける診療行為のほとんどは、保険適用の対象です。たとえば、内科の診察、血液検査やレントゲンなどの検査、インフルエンザなどの治療、入院・手術、医師の処方による薬剤の費用などが該当します。また、歯科治療でも虫歯の治療や銀歯の装着といった基本的な処置は保険対象となっています。さらに、リハビリや慢性疾患に対する継続的な通院も対象です。

  1. 保険が適用されない主な医療行為

一方で、医療保険が適用されない治療も少なくありません。代表的な例は、美容整形(シミ取り、二重まぶた手術など)です。また、自由診療とされる未承認薬の使用や、予防的な検査(人間ドック、がんドック)も保険適用外です。歯科治療では、インプラントやセラミックなど見た目を重視したものも自己負担になります。また、海外での治療やセカンドオピニオンにかかる費用も対象外となる場合があります。

  1. 自己負担の割合と軽減制度

保険が適用された場合でも、医療費は全額無料になるわけではありません。年齢や所得により、患者が負担する割合は異なります。原則として、6歳以上70歳未満は3割、70歳以上75歳未満は2割、75歳以上は1割負担となります(高所得者を除く)。また、1か月の自己負担額が高額になった場合、「高額療養費制度」によって上限を超えた部分が払い戻される制度も用意されています。この制度により、重病時の経済的負担を大きく軽減できます。

  1. まとめ

医療保険は生活の大きな安心材料のひとつですが、適用範囲を正しく理解することで、不要な出費を避けたり、適切な保険商品を選ぶ判断材料になります。すべての医療行為が保険対象ではないことを意識し、予防目的の検査や美容的処置については、事前に自己負担の有無を確認することが重要です。万一のときに備えて、保険適用の仕組みを今一度見直してみましょう。

 

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