医療保険の受取人になれるのは被保険者だけ?

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はじめに

入院や手術の医療費をサポートしてくれる民間医療保険。
万が一の病気やケガに備えて加入を考えている人も多いと思います。
ところで、現在販売されている医療保険では、ほとんどの商品で「被保険者」以外の人が「受取人」になることはできなくなっています。
以下で詳しく見ていくことにしましょう。

受取人と被保険者と契約者

ここまで「受取人」「被保険者」といった言葉が出てきました。
まず言葉の意味をはっきりとさせておきましょう。

「受取人」は、給付金が支払われることになったときに、文字通りそれを受け取る人のことです。

「被保険者」は、医療保険の保障の対象になる人のことを言います。
例えば、タロウさんが入院したり手術を受けたりしたときに給付金が支払われるのであれば、タロウさんが「被保険者」です。

また保険会社と医療保険の契約をし、保険料を支払う人のことは「契約者」と言います。

医療保険では、この三者が同一人物になるのが一般的です。
タロウさんが、自分の入院やケガに備えて自身を「被保険者」かつ「受取人」にし、自身が「契約者」として医療保険に加入する、というパターンですね。

そして現在販売されている医療保険では、原則として「受取人」は「被保険者」とすることになっていて、他の人を「受取人」に設定することはできないようになっています。

被保険者が請求できない場合には?

では、何らかの事情により「被保険者」(=「受取人」)が医療保険の給付金を請求できない状態にある場合にはどうなるのでしょうか?

このような場合に備えるものとして「指定代理請求制度」と呼ばれる制度があります。
この制度ではあらかじめ「契約者」が「代理人」を指定しておきます。
ただし、「契約者」と「被保険者」=「受取人」が異なるケースで「代理人」を指定する場合には、「契約者」は「被保険者」の同意を得なければなりません。

そして「被保険者」に「特別な事情」がある場合には、その「代理人」が代わって給付金の請求などを行うわけです。
ここで言う「特別な事情」とは、「病気や傷害の症状が重く、給付金請求などの意思表示が行えないとき」もしくは「がんなどにかかっていて病名や余命の告知を受けていないとき」またはそのどちらかに準ずる状態のときのことを指します。

また「代理人」は誰でもなれるわけではありません。
「被保険者の法律上の配偶者」もしくは「被保険者の直系血族」(父母・祖父母・子・孫など)または「被保険者と同居もしくは生計を同じにしている被保険者の3親等以内の親族」に限定されることになっています。
なお、保険会社によっては「被保険者の内縁(事実婚)の配偶者」や「被保険者の同性のパートナー」を「代理人」にできることもあります。

最後に

先ほども述べたように、現在販売されている医療保険はほとんどの場合「被保険者」以外の人を「受取人」にすることはできません。
加えて、このケースでは受け取った給付金は非課税です。
しかし、以前に販売されていた商品の中には、「被保険者」以外の人を「受取人」に設定できるものもありました。
この場合、「被保険者」と「受取人」の関係性によっては、受け取った給付金に税金が課せられるケースもありますのでご注意ください。

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