公的保険の種類とリハビリテーションの関係

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【はじめに】

病気を患った時や、大怪我をした時、一命をとりとめても後遺症や障害が残ってしまうことがあります。
その時に重要となってくるのが、リハビリテーション。
リハビリにも回復段階に合わせていろいろな種類があり、保険の管轄も異なってきます。
今回は、リハビリと公的な保険の関係を見ていきたいと思います。

1.医療保険と介護保険の違い
リハビリの話に入る前に、まず、医療保険と介護保険の違いを確認します。

(1)医療保険
対象者は、0歳以上で病院に通院・入院が必要な人すべてです。
病院で治療を受ける時や、医療機関で入院をする時に保障が発生します。
保障を受けるのに、国の認定は必要ありません。
保障の上限はなく、自己負担額は3割です。

(2)介護保険
介護保険の対象者は、介護が必要になった65歳以上の人と、国が定めた「16種類の特定疾病」にかかった40歳以上の人です。
介護施設の利用、介護相談、訪問介護に対して保障が発生します。
また、65歳以上、特定疾病にかかった40歳以上の人であっても、国の認定が必要です。
自己負担額は1割となっていますが、保障の上限があります。

2.リハビリテーションの種類と保険
リハビリを受ける際、介護保険が適用されるか医療保険が適用されるかは、リハビリの段階によって変わってきます。

(1)急性期リハビリテーション
病気や怪我の治療で寝たきりだった状態から、自力で動けるようになることと、症状を安定化させることを目指し、合併症の予防と回復に向けてのリハビリに集中的に取り組める状態を目指します。

(2)回復期リハビリテーション
自宅復帰を目指したリハビリが行われます。
回復が目に見えやすい時期で、手段的日常生活動作IADLと呼ばれる訓練を実施します。

(3)維持期(生活期)リハビリテーション
病院を退院し、自宅での生活に戻った後の時期です。
症状や障害の状態が安定している時期で、回復した機能の維持と生活の質(QOL)の向上を目的としたリハビリが行われます。

ここまで紹介した、(1)~(3)に関しては、医療保険で保障されます。

(4)通所リハビリテーション
利用者が、病院、老人保健施設、診療所などの施設に通って受けるリハビリテーションで、可能な限り自宅で自立した生活を送れるようにする目的で行われます。
こちらは、介護保険の保障が適応されます(※国の認定が必要)。

3.リハビリテーションと保険
急性期リハビリ、回復期リハビリ、維持期リハビリまでは医療保険、通所リハビリは介護保険の範囲と書きましたが、保険に関しては大きな注意点が二つあります。
一つ目は、医療保険のリハビリ期間は、国によって定められています。
国が定めたリハビリ機関を超えた後もリハビリを受けたい場合は、介護保険で通所リハビリを利用するか、自費で費用をまかなう必要があります。
もう一つは、医療保険と介護保険を併用してリハビリを受けることはできないということです。
例えば、医療保険で自宅でのリハビリを受け、同時に介護保険で通所リハビリを利用するということはできません。

【最後に】

今回は、医療保険と介護保険の違いと、リハビリテーションの種類についてまとめました。
国の医療保険、介護保険でリハビリテーションを受けることも可能ですが、万一病気になって後遺症が出た時、「もう少し在宅でのリハビリを続けたかったのに、決められた期間が過ぎてしまった…」という不満が出てくるかもしれません。
そんな時のためにも、自分に合った保険に加入しておくと、治療やリハビリの選択肢も増え、より良い生活につなげることができるのではないでしょうか。

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