がん治療の公的保険の適用範囲について

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【はじめに】
昔は、がんにかかってしまうと回復が見込めない場合が多かったことから、患者本人には病名が知らされないほど恐れられていました。
しかし現代は、あらゆる検査で早期にがんを発見することも可能となり、治療後は社会復帰をする人も増えています。それは、がんにかかったことを公表する有名人が増えていることからも分かりますね。
また治療方法も患者本人が医師と相談しながら選択できるようになってきています。
しかし、がんの治療は長期に渡る場合も多く、発覚したときに医療費の心配をする人も少なくありません。
そこで今回は、がんの治療で公的な医療保険で保障される費用の範囲についてまとめます。

【がん治療の公的保険の適用範囲について】

がんの検査や治療は、公的保険でも適用となります。しかし、差額ベッド代や食事代、入院中の生活費などは公的保険の適用外となります。また、治療法によっては公的保険の適用範囲外となる場合もあるので、注意が必要です

1.公的保険の適用範囲内の費用
(1)手術
がんがまだ初期の状態でそれほど大きくなっていない場合は、がんの組織のみを取り除きます。
がんが少し大きくなっている場合は、再発・転移を防止するためその臓器自体を切除する場合もあります。
近年は大きな負担を伴う切開手術だけではなく、内視鏡で切除する方法も一般的となってきました。
がんの切除手術にかかる費用は30万~130万円ですが、公的保険が適用されるので自己負担額は3割となります。また、高額療養費制度を利用することで、さらに自己負担分を抑えることができます。

(2)化学療法
抗がん剤やホルモン剤などの薬物を投与したり、放射線でがん細胞を焼いたりする治療法です。
薬物や放射線は、がん細胞を殺す効果が高い代わりに、元気な細胞にもダメージを与えるため、副作用が大きく入院も長期化しがちです。
しかし初期のがんでは、通院で放射線治療を行う場合もあります。
治療にかかる費用は、薬物療法が100万円前後、放射線治療が60万円前後で、こちらも公的保険の適用により自己負担は3割となります。また、高額療養費制度を利用することで自己負担分をさらに抑えることもできます。

2.公的保険の適用範囲外の費用
(1)先進医療にかかる費用
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術のことです。効果や安全性が認められると、公的保険の適用が検討されます。
テレビ番組などで特集が組まれるような、より体への負担が少ない新しい治療方法や薬などは先進医療に含まれることが多いため「この治療を受けたい」と思っても、今はまだ公的保険は適用されていないということもよくあります。
しかし、重粒子線治療や陽子線治療のように、がんの種類によっては公的保険が適用される場合もあります。

(2)差額ベッド代、食事代など
病院の都合以外で自ら個室を希望した場合の差額ベッド代は自己負担となります。また、病院での食事代、家族の交通費なども適用外となります。

【最後に】

今回は、がんの治療にかかる費用で、公的保険の適用範囲内のものと範囲外のものについてまとめました。
がんになっても公的保険で検査や治療を受けることはできますが、もしがんになってしまったら治療方法の選択肢を増やしたい、入院中の生活費を気にせず治療に専念したいなどの希望があるかもしれません。そういった場合は民間の医療保険またはがん保険も合わせて活用することをお勧めします。

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