年金の繰り上げ受給は損益分岐点を考慮するのがよい

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年金の繰り上げ受給は、受給開始年齢を早めることで生活資金の確保を図れる一方で、将来的な受給額が減少する可能性があります。そのため、繰り上げ受給を検討する際には損益分岐点を考慮することが重要です。ここでは、年金の繰り上げ受給における損益分岐点の考え方と、その計算方法について詳しく解説します。

 

目次

  1. 繰り上げ受給の基本とメリット・デメリット
  2. 損益分岐点とは何か
  3. 損益分岐点の計算方法
  4. 繰り上げ受給の判断基準
  5. まとめ

 

  1. 繰り上げ受給の基本とメリット・デメリット

年金の繰り上げ受給とは、本来の受給開始年齢よりも早く年金を受け取る選択肢です。日本では、通常、年金の受給開始年齢は65歳ですが、繰り上げ受給を選択すると、60歳から64歳の間で年金を受け取ることができます。繰り上げ受給のメリットは、早めに年金を受け取ることで生活資金を確保できる点です。特に、早期退職を考えている場合や、収入源として利用したい場合には有効な手段となります。

一方、デメリットとしては、繰り上げ受給を選択すると年金の受給額が減少する点です。具体的には、1ヶ月繰り上げるごとに0.5%の減少があり、5年間(60ヶ月)繰り上げると受給額は30%減少します。このため、将来的な受給総額が少なくなるリスクがあります。

 

  1. 損益分岐点とは何か

損益分岐点とは、繰り上げ受給によって減少する年金額を補うために、受給開始からどれくらいの年数が経過すれば元が取れるかを示す指標です。具体的には、繰り上げ受給を選択してから通常の受給開始年齢までの間に、繰り上げ受給による減少分をカバーするために必要な期間を示します。損益分岐点を理解することで、どのタイミングで年金を受け取るのが最も利益が大きいかを判断する助けになります。

 

  1. 損益分岐点の計算方法

まず、繰り上げ受給を選択した場合の年間受給額と、通常の受給開始時の年間受給額を比較し、年間でどれだけの金額が減少するかを計算します。例えば、65歳から受給する場合の年間受給額が120万円、60歳から繰り上げ受給する場合の年間受給額が84万円(30%減少)と仮定します。この場合、1年あたり36万円の差が生じます。

次に、繰り上げ受給を選択することで、65歳までの期間にどれだけの受給額を得ることになるかを計算します。例えば、65歳までの5年間で84万円×5年=420万円を受け取ることになります。通常の受給開始の場合、年間120万円×5年=600万円を受け取ることになるため、420万円で受け取ると180万円の差が生じます。

この差額を年間の減少額で割ることで、損益分岐点を求めます。180万円÷36万円=5年が必要となります。つまり、繰り上げ受給を選択してから、5年間で元を取るための期間が経過することになります。

 

  1. 繰り上げ受給の判断基準

繰り上げ受給を選択するかどうかを判断する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。まず、自身の健康状態や予想寿命を考慮することが重要です。もし長生きする可能性が高いと考えるなら、受給額が減少するリスクを避けるために、通常の受給開始年齢を待つ方が良いかもしれません。

次に、現在の経済状況も重要です。例えば、現在の収入が不安定であったり、早期に年金が必要な状況であれば、繰り上げ受給を検討する価値があります。最後に、自分のライフプランも考慮することが大切です。繰り上げ受給を選択することで、早期退職やセカンドキャリアの計画が実現しやすくなる場合があります。自身の生活設計に合わせて判断することが必要です。

 

  1. まとめ

年金の繰り上げ受給は、早期に年金を受け取ることで生活資金を安定させる一方で、将来的な受給額が減少するリスクも伴います。損益分岐点を考慮することで、繰り上げ受給が自分にとって最も有利かどうかを判断する材料となります。自身の健康状態、経済状況、ライフプランを総合的に考え、自分に最適な受給開始時期を選択することが重要です。

 

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