- 2019-2-16
- 個人年金・年金
【はじめに】
2019年(平成30年)1月1日から税務署への保険会社からの支払調書の記載内容が改定されました。
これは保険会社から被保険者へ支払われた保険金や給付金の支払い内容や、保険契約者の名義変更の履歴などを税務署にお知らせするものです。この改正は、納税者の申告漏れをなくすための措置で、今後納税者に申告漏れがあった場合、税務署から指摘が入ることになります。
この記事では、個人年金保険の名義変更にもかかわる「支払調書」についてご紹介していきたいと思います。
【まずは個人年金保険について見ていきましょう】
老後の保障について不安を抱えている人はおよそ9割といわれる現代「老後の備えを自分で何とかしなければ」と考える方も多くいるでしょう。
その中で個人年金保険は、老後の不安を少しでも緩和できるようご自身で備えておける保険です。さらに普通預金に比べて利率が良いことや、年金として定額が受け取れる安心感のある保険として、高いニーズがある保険商品となります。
この個人年金保険は受給前であれば、いつでも名義変更が可能です。
【被保険者死亡による名義変更】
個人年金保険の被保険者が死亡して新しく名義を変更した場合にも、現行の支払調書で保険会社から税務署に通知されます。
名義変更後新しい被保険者は、生命保険契約に関する権利(解約返戻金を受け取ることができる権利)を受け継ぐので、相続税課税の対象となります。
例えば父親が旧保険契約者であった場合、死亡によりその子供が「生命保険に関する権利」を引き継いだときは、新しく契約者となった子供が相続税の課税対象となるわけです。
また解約返戻金については、個人年金保険の旧保険契約者が死亡時点で解約したと仮定して、その金額が計算されます。
個人年金保険の契約者死亡により、新しい契約者に名義変更したときは、解約返戻金の金額を相続財産に加算して、すみやかに相続税を申告することが重要です。
【個人年金保険の名義をその他の理由で変更する場合】
個人年金保険の名義をその他の理由で変更した場合は課税されず、保険金を新しい契約者が受け取るときに、税金が課されることになります。
これまでは、保険契約者の変更後の課税に関して、申告漏れがあり問題となっていました。
それにより税務署は、これまで保険契約者の変更内容を把握することができず、課税ができない状況がありました。
今回の改正により支払調書で保険契約者の変更回数や、新しい保険契約者が支払った保険金額を把握できるようになったので、税務署側で保険契約についての推移が把握され、申告漏れをチェックしやすくなっています。
【まとめ】
所得税法改正後、税務署に保険会社から提出される「支払調書」は、あくまで保険会社と税務署間の情報のやり取りで、相続税など税金の申告漏れを防ぐ目的で改正されています。
保険契約者には直接のかかわりがないものではありませが、所得税法の改正を頭に入れておかれるといいかもしれません。