- 2020-5-27
- 個人年金・年金
はじめに
最近、老後は年金だけでは暮らすのが難しいという声が上がっています。
そこで両親に少しでも楽をしてもらうため、扶養に入れようと考えている人も多いはず。
しかし、扶養家族と聞くと配偶者と子を指すイメージがありますよね。
では、私たち現役世代が両親を扶養家族に入れることはできるのでしょうか。
実は2種類ある
そもそも扶養には2種類あって「税制上」と「社会保険上」とがあります。
そして、両親を入れるためにはそれぞれの条件を満たさなければいけません。
その条件を見ていきましょう。
扶養される親の合計所得金額が38万円以下
まず税制上の扶養の条件は「合計所得金額が38万円以下」となります。
つまり年金で得られる収入が基礎控除38万円以下であるということです。
ただし、年金も「公的年金などに係る雑所得の控除」があります。
この控除も含めると、親が65歳未満で108万円未満、65歳以上で158万円未満の「年金収入」であると扶養することができます。
さらに「扶養する人、される人が生計を一にする」ということになっていて、同居の必要があるように見えますが、別居していても対象となることがあります。
例えば、親への仕送りも「生計を一にする」と認められるようになっています。
年間の収入が180万円未満であること
「社会保険上の扶養」の場合、基本的に扶養する家族の年間収入が130万円未満であることが条件です。
しかし、同居と別居とでは後につく条件が微妙に違います。
同居の場合は、扶養される人の収入が扶養する人の「年収の半分」を下回ることとなっています。
一方、別居の場合は、扶養される人の収入が扶養する人からの仕送り額を下回っていることが条件です。
以上が基本的な条件ですが、年金を受け取っている親の多くは65歳以上ですよね。
そうだった場合、年間の収入が180万円未満となります。
これは、扶養される人が60歳以上、もしくは59歳以下で障害年金を受給している人の条件だからです。
また「税制上の扶養」に年齢制限はありませんが、「社会保険上の扶養」では75歳以上の人は対象外です。これらの人には後期高齢者医療制度が適用されるため扶養家族に入れることができないので注意してください。
まとめ
年金で暮らす両親を扶養に入れたいのなら、税制上は年末調整までに申告書類を提出し、社会保険上は扶養(異動)届と続柄・収入要件確認の書類を提出します。
こちらは常に対応しているので、事前に会社に伝えておくといいでしょう。
両親を扶養家族にすると税制上は扶養する人が所得控除され、社会保険上は扶養されている両親が保険料を払わなくて済みます。しかし、子の扶養に入ったことで両親の所得水準が上がったとみなされ、後期高齢者医療制度の自己負担額が増えることがあります。
そのため、安易に両親を扶養に入れるのは良い判断とは言えません。
ちゃんとメリット・デメリットのバランスを考えてから扶養に入れるか検討しましょう。