- 2019-11-15
- 医療保険
はじめに
民間の保険会社が販売する医療保険については、時々「本当に必要か?」というような議論が見受けられることがあります。
特に、サラリーマンの方が加入する公的医療保険(被用者保険)に関しては、「仕事を休まなくてはならなくなった場合の給付制度も充実しているため、医療保険は必要ではない」という意見も多いようです。
そこで今回は、サラリーマンに医療保険は必要か、必要でないのか、検討してみることにしましょう。
必要?必要でない?
不必要論の根拠になっているのは、多くの場合「高額療養費」と「傷病手当金」という2つの制度です。
それぞれについて考えてみましょう。
高額療養費
支払った医療費の合計が自己負担の限度額(所得・年齢によって変動します)をオーバーした場合、手続きをすることでオーバーした分の医療費が給付(返還)されるシステムのことを言います。
確かに、この制度のおかげで医療費の負担が青天井に膨れ上がることは防止できるのですが、すべてをカバーしてくれるわけではありません。
まず、入院したときの差額ベッド代は適用対象外です。
差額ベッド代と言えば個室に入ったケースを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし個室でなくても「特別な環境」の病室(仕切りがあったり個別の収納がある)に入った場合には、差額ベッド代が必要になることもあります。
その分のお金は自己負担となります。
また昨今では、主にがんの治療を目的とした「先進医療」が数多く開発されています。
これらの治療を受けた場合の費用に関しても、制度の適用対象外であり、自ら負担しなければなりません。
それに加えて、入院・通院を重ねることになると、医療費以外も色々と発生することになります。
当然のことながらそのような費用も高額療養費制度ではカバーしてくれません。
傷病手当金
病気やけがによって仕事を休まなくてはならなくなり、給料をもらえなくなったときに手当金が給付されるシステムです。
連続して3日以上休んだ場合の4日目から最長1年半まで給付されることになっていて、給付額は基本的に支給開始前1年間の標準報酬月額によって決まります。
したがって、仕事に行けなくなり給料が出なくなっても、この制度のおかげで収入は確保されるわけです。
しかし全額が補償されるわけではありません。
手当金の額は、標準報酬月額に3分の2を乗じたものとなっているからです。
つまり、収入の約65%しか確保されないということです。
最後に
今回は、サラリーマンに医療保険は必要なのか、必要でないのかについて考えてきました。
確かに、高額療養費や傷病手当金の制度があるおかげで、ある程度の補償はなされますが、上で見てきたように出費や収入のすべてがカバーされるわけではありません。
そのように考えてみると、やはり公的な制度でカバーされない部分については、民間医療保険に加入しておいた方が安心と言えるのではないでしょうか。