知っているようで知らない年金の歴史

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はじめに

65歳を過ぎると受け取ることができるのが年金ですよね。
ですが、近年では今後その歳を迎えても受け取れるか分からないとよく耳にします。
また、受け取れたとしても老後資金は足りないとも言われます。

そんな風に不安視されている年金ですが、その歴史をちゃんと知っていますか?
今回は、年金が現在の形になるまでの大まかな歴史の流れを追ってみましょう。

先にできたのは、厚生年金!

まず、よく「年金」と呼ばれるものなのですが、これは公的年金のことを指し、大きく分けると国民年金と厚生年金とに分けられます。
イメージだと国民年金の方が先のように思うかもしれませんが、そうではありません。
先にできたのは厚生年金の方です。

そのもととなったのが、1940年に施行された船員保険法で、船員が対象となっていました。
その後1942年に船員だけでなく工場で働く男子労働者も対象とした労働者年金保険法が制定され、さらに2年後の1944年には適用範囲を拡大させ男性の事務職と女性労働者も対象とし、名称も厚生年金保険法となりました。
このような流れで厚生年金は形作られていき、公務員や会社員が対象となっていきました。

ただし、この時点では農業や漁業を営む自営業者や無職の人には公的年金は存在していませんでした。
なぜなら、国の発展に貢献する重工業に従事する労働者を保護する観点から厚生年金はできたものの、当時は家族・親戚・近隣住民で支え合うのが当たり前の社会だったからです。
特に農業を営む人のように自給自足ができてしまう人にとっては年金の必要性が薄かったのです。

ですが、時代が進むにつれ核家族化や地方の過疎化など様々な理由から、支え合っていくのが難しくなります。
そこで、そういった人たちの支えとして1961年に国民年金制度が施行され、ようやく国民皆年金体制がスタートするのです。

配偶者の扱い

国民皆年金体制といっても、すぐに全ての人が加入したわけではありません。
厚生年金に加入している人の配偶者(主に妻)は任意加入でした。

例えば、働いていた人同士が結婚し、その後どちらか一方が専業主婦(夫)になったとします。
すると、今とは違い、家庭に入った方は加入していた厚生年金を一時金として処理し、結婚後の年金への加入は自由だったのです。
これは厚生年金の支給額が大きいため、その配偶者があえて年金に加入する必要がないという考えがあったからと言われています。

しかし、こちらも時代の流れとともに成り立たなくなります。
理由としては、ある程度年齢を重ねてからの離婚が増えてきたからです。
離婚となると年金に加入していない方の配偶者は無年金者となり、老後の生活が危ぶまれる事態が起こったのです。
この事態を受けて、厚生年金に加入している人の配偶者は第3号被保険者として扱われ、保険料を支払わなくても国民年金を受け取れるようになりました。

1986年に現在の形に

配偶者の扱い以外にも、各年金が別々で機能しているうえ格差も大きいなどの問題が年金制度にはありました。
そして、そのような問題への対処として1985年に大幅な制度改正がなされました。
そのうちの一つとして先ほどあげた配偶者の扱いがあります。
この他にも、各年金を一つにして2階建構造にするだけでなく、20歳から60歳までの全ての人が加入するといった改正が行われました。
この改正が1986年に施行され、現在の形となりました。

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