公的医療保険における医療費の総額と内訳

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はじめに

体調を崩したりケガをしたりして病院に行くとき、ふつうは保険証を提示します。
こうすることで、自分で負担するのは実際にかかった費用のうちの数割程度で済むようになっています。
このような公的医療保険制度があるおかげで、私たちは気軽に病院を受診することができるわけです。
ところで、この制度を運営するにあたってはどれくらいのお金がかかっているのでしょうか?
そして、その内訳はどのようになっているのでしょうか?

医療費の総額と内訳

公的医療保険制度が適用される医療行為、すなわち保険診療を対象とした年間あたりの医療費のことを国民医療費と呼びます。
これに関しては、毎年その金額や内訳が厚生労働省から公表されています。
直近のデータでは令和2年(2020年)11月30日に、平成30年(2018年)度のものが公表されました。
それによると、保険診療にかかったお金の総額は43兆3949億円となっています。
その前年は43兆710億円でしたから、およそ0.8%増えたことになります。

では、その内訳はどうなっているのでしょうか?
最もお金が使われているのはもちろん医科診療の部分、つまりお医者さんによる診療行為の部分で、約31.3兆円と全体の70%以上を占めています。
このうち、入院による医療費は約16.5兆円、入院外のほうは約14.7兆円となっています。

二番目に多いのは薬局調剤医療費で約7.5兆円。
三番目は、歯科診療医療費で約3兆円となっています。

コロナ禍で医療費はどうなる?

ところで、気になるのが新型コロナウイルスの感染拡大で医療費がどうなっているのかという点ですよね。
これに関しては、まだはっきりとしたことはわかりません。
感染拡大が始まったのが2020年。
これに対して、最新のデータが2018年度分ですから、まだ数字が出ていないのです。

ただし、ある程度「こうなるのではないか」という予想は立てられています。
それは「大きく減る可能性が高い」というもの。
これを聞いて、不思議に思われる方も少なくないかもしれません。
これだけ感染者が増え、医療現場もひっ迫している状態なのですから、医療費は大きく増えているのではないかと想像してもおかしくないですよね。

ところが、実際にはそうならない可能性が高いと予想されているのです。
その原因として挙げられるのは、手洗い・うがい・マスク着用の励行や人と接触する機会の減少により感染症が減ったこと。
さらに、外出機会の減少によりケガをする人が減っていることも挙げられます。
また、不必要な医療機関の受診をする人が減っていることも関係しているでしょう。
このような要因により、コロナ禍における医療費は減少すると予想されています。
実際の2020年度のデータは2022年秋ごろに公表される見通しで、その内容が注目されるところです。

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