年金の経過的加算について

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はじめに

50歳以上の方のねんきん定期便には、将来60歳までに支払ったと仮定して計算された受給見込み額が記載されています。
その中に「経過的加算」という項目で65歳以上から受け取れる受給額が記載されていますが、項目の意味を知っている方はあまり多くないようです。金額は人によって数十円~数万円と差があるため、疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
今回は「年金の経過的加算について」というテーマでお話していこうと思います。

経過的加算って何?

厚生年金は、平均給与額と加入月数で計算されます。
加入期間が長く、給与や賞与が高い場合は保険料の負担も大きいですが、老後にもらえる年金額も多くもらえるというのが厚生年金の仕組みです。
これを「報酬比例部分」といって厚生年金の本体部分にあたります。「経過的加算」は、別名「差額加算」といって厚生年金のプラスアルファ部分にあたります。

例えば、20歳~60歳まで会社員として働き、厚生年金被保険者・国民年金第2号被保険者として保険料を支払い続けると、将来報酬比例部分と老齢基礎年金の2種類を受け取ることができます。
ですが、20歳前と60歳以降に加入した厚生年金については、報酬比例部分は増えますが老齢基礎年金は増えません。代わりに経過的加算額が増えることになっています。

経過的加算を受け取る際の注意点

経過的加算を受け取る場合、注意点が2つあります。
65歳以降に受け取る年金は、老齢厚生年金と老齢基礎年金をそれぞれ繰り下げ受給することができます。しかし、繰下げ受給をする場合、報酬比例部分と経過的加算額は一緒に繰り下げなければいけません。それぞれ別々に繰り下げ受給することはできません。

また、遺族年金を受給している方も注意点があります。
65歳以上で遺族厚生年金を受け取っている方は、老齢基礎年金や老齢厚生年金と合わせて受給可能です。
ただし遺族厚生年金に関しては、老齢厚生年金相当額(経過的加算額を含む)を差し引いた差額分を受け取ることになります。
つまり60歳以降厚生年金に入り報酬比例部分と経過的加算額が増えれば、遺族厚生年金は減ってしまいます。

まとめ

今回紹介した経過的加算というのは、その内なくなってしまうという意味合いが強いものです。
そのため、この加算分を当てに将来設計をするのは賢い選択とはいえないでしょう。また、もともと経過的加算の対象外の方もいます。
そういった方で、将来の年金に対して不安を感じる場合は、個人年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)で補うことを考えてみましょう。

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