年金の物価スライド制とは

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はじめに

物の値段、すなわち物価というものは年々変わり続けています。
物価の優等生と言われる鶏卵ですら、常に同じ値段であるということはありません。
値上がりや値下がりの幅はそれほど大きくはないかもしれませんが、値段は変動しています。
このように年々変わり続ける物の値段に歩調を合わせて変化していくものもあります。
それは年金の額。
今回は、年金の物価スライド制について考えてみることにしましょう。

物価スライド制とは

もし、物の値段が上がり続けているのに年金の額が一定ならどうなるでしょう?
年金が収入のメインとなっている人にとっては大きなダメージとなってしまいます。
また、逆に物の値段が下がり続けているのに、年金額が変わらないというのも、各方面に影響が出ることになってしまうでしょう。
結局のところ、年金の額は物の値段の上下に合わせて調整するというのが、最も適切な方法になってくるわけです。
このようなシステムのことを年金の物価スライド制と呼びます。
ただし、日本の場合は厳密な意味での物価スライド制とは言えないかもしれません。

厳密な意味での物価スライドではない?

なぜ、日本の年金は厳密な意味での物価スライドとは言えないのでしょうか?
それはマクロ経済スライドというシステムが導入されているためです。
これは、わかりやすく言うと、年金の上り幅を物価(あるいは賃金)の上り幅よりも低く抑えるというシステム。
つまり、実質的には年金の額が少なくなることになります。

なぜ、このようなシステムが導入されたのでしょうか?
日本の年金は、現役世代の方が払った分を高齢者の方に支給する形となっています。
自分のための年金を積み立てているわけではないということですね。
しかし、日本は少子高齢化が進んでいく一方。
つまり、受け取るほうは増えていくのに、それを工面する側は減っていく状況にあるわけです。
このままの状態が続くと、制度が破綻することは目に見えています。
そこで、そのような事態を避け、年金という制度を将来的にも維持していくために導入されたのが、このマクロ経済スライドというわけです。

なお、このマクロ経済スライドには発動のための条件が定められており、常に適用されるわけではありません。
最近では、2019年と2020年に発動されています。

最後に

マクロ経済スライドというシステムが設けられているおかげで、物価が上がるほどには年金の額は上がりません。
つまり、本文中でも述べたように、実質的に受け取る年金の額は目減りしていくということです。
したがって、老後の生活を豊かで安心できるものにするためには個人年金に加入するなど何らかの自助手段を講じておく必要があります。
具体的にどのようなことをすればいいのか知りたいという方は、トータルライフコンサルタントやファイナンシャルプランナーといった専門家に相談されることをおすすめします。

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