年金の合意分割について

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はじめに

法的に見た場合、結婚している間に得た財産は、原則的に夫婦二人で共有しているものとして扱われます。二人が協力して共同で築き上げたものとみなされるからです。
このため、特別な事情がある場合を除き、離婚時にはその財産は公平に分け合わなければなりません。
これを財産分与と呼び、その対象には年金も含まれることになっています。
そのための制度が年金の合意分割です。
この記事では、その概要について説明します。

制度の概要

制度の概要について説明します。
この制度を利用すれば、夫婦が離婚した場合に年金を分け合うことが可能となります。
といっても、元夫もしくは元妻が受け取るはずの年金を分割してもらうわけではありません。
分割されるのは、受け取るはずの年金そのものではなく、保険料を納めた実績(年金記録=標準報酬)のほうです。
たとえば、元夫から元妻へ50%の割合で分割することに合意したとすれば、対象となる期間中に元夫が払い込んだ保険料の半分が、元妻が納めた形になると考えればわかりやすいかもしれません。
これにより、その分が元妻の受け取る年金に反映されることになるわけです。

対象になるのは結婚期間中の厚生年金

この制度の対象となるのは厚生年金の部分だけです。国民年金に関しては制度の対象には含まれません。
さらに、分割できるのは夫婦であった期間に該当する部分のみです。
厚生年金保険料を払っていたすべての期間が対象となるわけではありません。
先ほどの例で、元夫の厚生年金加入期間が30年、元妻と夫婦であった期間が20年としましょう。
すると、この場合に分割の対象となるのは、後者の20年間分の保険料納付実績のみとなります。

また、共働きで二人とも厚生年金に加入していた場合は、両者の標準報酬総額を合算したものが分割の対象となり、その額が多いほうから少ないほうへ分与されることになります。
仮に、結婚期間中の元夫の標準報酬総額が2500万円、元妻のそれが4500万円だったとします。そして分割割合が50%で合意したとしましょう。
この場合、合算額は7000万円ですから、元妻から元夫のほうへ1000万円が分与され、それぞれ50%(3500万円)ずつという形になります。

合意が必要

その名の通り、この制度を利用するにあたっては両者の合意が必要となります。
もし得られない場合には専門家に仲介を依頼するかもしくは裁判など法的な手続きをするしかありません。
また、分割の割合については50%となるケースがほとんどです。

最後に

この記事では、年金の合意分割についてその概要を説明しました。
なお、この制度を利用するためには離婚後2年以内に申請を行わなければなりません。
その期限を過ぎてしまうと申請ができなくなりますのでご注意ください。

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