年金は何歳からもらうのがお得?

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退職後の主たる収入源となる”年金”。その年金の受給開始年齢が選べることは皆さん、ご存じかと思います。新たに法律が改正され、年金受給開始年齢の選択の幅が更に広がりました。今回は、年金改正法のポイントと年金は何歳からもらうのがお得なのかをテーマに解説します。

年金改正法のポイントは4つ

2022年4月に施行の「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」のポイントは次に挙げる4点です。

〇年金の受給開始の時期を75歳からまで拡大。
〇65歳未満の在職老齢年金の減額基準を緩和。
〇厚生年金や健康保険を短時間労働者に拡大適用。
〇確定拠出年金制度の加入年齢の上限引き上げ。

各ポイントの詳細は後半で順番に述べていきます。

日本の年金制度の骨子

日本の年金制度は、働いている若い世代=現役世代が、退職した高齢者=シニア世代の生活を支える保険料を納めています。この方式を「賦課(ふか)方式」と呼びます。長らく機能してきたこの制度ですが、近年、少子化による現役世代の減少と、寿命の延伸によるシニア世代の増加によって、制度自体の見直しが迫られており、今回の法改正もそれを受けての事とみられています。

年金の受給開始時期を75歳まで拡大

現行の年金制度では、原則、65歳からの年金支給開始となっていますが、これは法改正後も変わりません。では、何が変わったのかと言うと、年金受給開始年齢をこれまでの70歳から、75歳まで5歳繰り下げられる様になりました。繰り上げ年齢はこれまでと同じ60歳からのままです。

65歳未満の在職老齢年金の減額基準を緩和

近年は、年金をもらいながら働いている人も数多くいます。その際気になるのが、在職老齢年金です。現行の法制度では、基準額月額28万円を超えると老齢厚生年金が一部支給停止となるという厳しいルールがあるのですが、これが今回の法改正によって、基準額月額47万円未満であれば、老齢厚生年金は満額受給できることになりました。

これは、老後の資金不足の不安から、年金受給開始後も働き続ける高齢者が増えている事を受けての事と考えられます。

健康保険・厚生年金の適用範囲の拡大

現行の法制度では、パートなどの短時間労働者は従業員500人超の企業に勤務していることなど、社会保険の加入に厳しい条件があります。将来的にはこれが、従業員50人前後の企業に勤める短時間労働者でも社会保険に加入することが出来る様になります。

しかし、これまでは配偶者の扶養に入っていた人が今後、社会保険に加入できるようになった場合、社会保険料の負担が生じる事になります。

確定拠出年金制度の加入年齢の上限引き上げ

個人型確定拠出年金(iDeCo)というのは、老後資金を現役世代のうちに自分で積み立てる事の出来る制度です。税制上のメリットがある事が、一般的な資産運用と比べた際のメリットです。個人型確定拠出年金の場合、掛金は全額所得控除となります。

また、利息や運用益にも税金が非課税となっています。但し、原則60歳になるまでは掛金を引き出す事は出来ない為、注意が必要です。

結局、年金は何歳からもらうべきか?

年金受給開始を60歳まで繰り上げられることは先にも述べました。そうした場合、65歳から貰い始めた人と比較して、24%も少ない受給額となり、受給総額は80歳の時点で追い付かれることになります。

つまり、80歳以上まで長生きできると考えるなら、年金はできるだけ、65歳まで待ってからもらう方が良いという事になります。では、受給開始年齢を繰り下げる場合はどうなるでしょうか。

受給開始年齢を70歳まで繰り下げると、年金受給額は42%増となり、81歳より長生きすれば、65歳からもらう人より受給総額は大きくなります。また、受給開始年齢を75歳まで繰り下げた場合、年金受給額はなんと84%増にもなります。
ただし、86歳以上まで長生きしなければ、65歳から年金をもらっている人より受給総額が下回ってしまうので、あまり遅くまで繰り下げるのも考えものです。

最後に

今回は、年金改正法のポイントと年金は何歳からもらうのがお得なのかをテーマに解説しました。自分が何歳まで生きる事になるのか、寿命と向き合い、最も損のない選択肢を選んで下さい。

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