- 2019-6-26
- 個人年金・年金
はじめに
厚生年金や健康保険など社会保険の保険料は、報酬に比例して多くもらっている人ほど多く支払うような仕組みになっています。
その支払額を決める基準となるのは「標準報酬月額」と呼ばれる額であり、これは通常年に一度決められた時期にその年の額が決められることになっていますが、それ以外の時期にも見直しがなされることがあります。
「随時改定」とはこの見直しのことをいいますが、詳細については以下で説明していきます。
随時改定の詳細
一般的には、毎年7月の「定時決定」の際に4・5・6月分の通勤手当を含む給与等から月あたりの平均支給額を計算し、それを一定額の幅を持たせた標準報酬月額の等級表に当てはめて決め、9月から翌年の8月まで適用する標準報酬月額を決めることとなっています。
ちなみに等級は、厚生年金は31段階、健康保険は50段階に分けられています。
しかし、定時決定の後から給与の額が大きく変化したケースにおいて、標準報酬月額を次の年の定時決定まで据置きのままにしておくと、長期間にわたって報酬に見合わない額の社会保険料を支払うことになります。
このようなケースに備えて定時決定以外の時期であっても、標準報酬月額の見直しを行う制度が「随時改定」なのです。
実施の条件
随時改定ができるのは、原則的に次にあげる三つの条件がそろった場合となっています。
固定的賃金が変化すること
賃金の中には、残業手当などのように月によって支給額が変動するものもあります。
このような賃金は非固定的賃金と呼ばれ、これが変化した場合であっても随時改定実施の条件には当てはまりません。
固定的賃金と呼ばれる基本給や通勤手当のように毎月の支給額が一定の賃金が変化することが、随時改定を実施する一つ目の条件です。
等級の変動が2段階以上
賃金の変化した月も含めて、継続した3か月間の報酬(非固定的賃金も合わせた)の平均額に基づく標準報酬月額の等級が「2等級以上」上がること、もしくは下がることが二つ目の条件です。
支払基礎日数が3か月とも17日以上
三つ目の条件は、二つ目の条件になっている3か月間の各月の支払基礎日数がそれぞれ17日(特定適用事業所に勤務している短時間労働者の場合は11日)以上であることです。
最後に
上で説明した随時改定の実施条件には例外があります。
「固定的賃金はアップしたが非固定的賃金が減って2等級以上の差ができた」というケースや、逆に「固定的賃金はダウンしたのに非固定的賃金が増えて2等級以上の差ができた」場合は、先ほどの条件すべてに当てはまったとしても随時改定の対象とはなりません。
なお随時改定の該当者がいる場合、事業主は「被保険者月額変更届」を日本年金機構の事務センターもしくは年金事務所へ速やかに提出することとなっています。