- 2020-8-18
- 個人年金・年金
はじめに
みなさんの周りにも年金を主な収入源として生活をしている人が何人かはいるのではないでしょうか。
実は、障害年金や遺族年金は非課税ですが、老齢年金は所得税の対象となっています。
そして、年金所得から課税対象となる金額を求めるうえで重要な公的年金等控除と基礎控除の額が2020年度分から変更されています。
今回はその点についてみていきましょう。
10万円上がるか下がるか
まずは控除について簡単に説明しておきます。
例えるなら必要経費です。
会社の利益を求めるとき、売り上げから必要経費を差し引きますよね。
それと同じようなものです。
課税対象となる所得は、収入から生命保険料など必要経費にあたるものを差し引いて求めます。この「差し引くこと」を控除といい、差し引く額を「控除額」といいます。
そして、控除できるものは税法で決められており、主な収入源が年金だとすると公的年金等控除と基礎控除が大きく関わってきます。
公的年金等控除は、2019年度分までは年間の年金額と65歳未満かそれ以上かで控除額が決められていました。
しかし、2020年度からは、2019年度までの区分に年金以外の所得額がプラスされ、より細かく分けられます。
さらに控除額も一律10万円下がり、年金のみで1000万円以上の収入があった場合は195万5000円の上限が設けられています。
ちなみに、年金のみで1000万円以上、それ以外で1000万円以上2000万円未満の収入があると185万5000円、2000万円以上となると175万5000円が上限です。
一方、基礎控除は年金収入だけの人に限らず、サラリーマンや自営業者など誰にでも適用できる控除で、今までは38万円と固定でした。
ですが、こちらも2020年度から年間収入が2400万円以下だと10万円プラスされ48万円、2400万円を超えると収入額に応じて変わり、2500万円を超えるとなくなります。
結局、影響なし?
このように控除額が変更されると税額にも影響が出ると思うかもしれません。
しかし、結論からいうと年金収入のみの人の多くは大きな影響はないです。
所得税を求める計算式が少し変わるだけで支払う税額は変わらないといった形になっています。
つまり公的年金等控除が10万円下がっても基礎控除が10万円上がり相殺されるので、影響が出ません。
影響が出るのは、年金収入のみで1000万円を超える人、年金以外で1000万円を超える収入がある人です。
これらの人は、公的年金等控除に上限が設けられたこと、基礎控除が年収2400万円を超えると段階的に減り、2500万円を超えると控除がなくなることが影響を受ける要因だと考えられます。
まとめ
今回は主な収入が年金である人の控除についてみてきましたが、実は給与所得控除も見直しがされています。
収入に応じて控除額が変わるのですが、その額が公的年金等控除と同じように一律10万円下がっています。
このように身近な税金でも刻々と変化していきます。
そういった影響が気になる方は、税理士やファイナンシャルプランナーなどのプロに相談してみましょう。