- 2021-12-8
- 学資
はじめに
高校卒業以降も大学や専門学校へ進学する人の割合が高くなっています。
現在、教育無償化は基本的に高校までですから、それ以降の教育資金は多くの場合、親の負担となります。
そのような負担に備えて加入する人が多いのが学資保険。
この学資保険ですが、離婚するときの取り扱いはどうなるのでしょうか?
養育費に入れてもいいのでしょうか?
今回はこのテーマについて考えてみたいと思います。
高校卒業以降の教育にはお金がかかる
ひと昔ふた昔前に比べれば日本の子育て支援策はかなり充実してきています。
少子高齢化を何とか改善したいという国の強い願いが、実際に形となって表れているということなのかもしれません。
その中でも親にとって特にありがたいのは教育無償化の動きでしょう。
現在では、その範囲が高校まで拡大されてきています。
とは言うものの、高校卒業で教育が終了するというケースは少数派です。
文部科学省が公表している2020年度(令和2年度)学校基本調査によれば、大学進学率(短大への進学も含む)は58.6%。
さらに、高等専門学校や専門学校も含めた場合の進学率は83.5%にもおよびます。
実に高校生の8割以上が卒業後も進学という進路を選んでいるわけです。
ところが、高校卒業以降に関しては教育無償化の制度がないわけではありませんが、その対象となる家庭はまだまだ限られています。
大学や専門学校などの教育費用については、親が負担しなければならないケースが多いのです。
そのような費用を用意するための手段として加入する人が多いのが学資保険。
ところで、この学資保険ですが、親が離婚をするときにはどのような取り扱いになるのでしょうか?
学資保険は夫婦の共有財産
基本的に、学資保険は夫婦共同の財産とみなされます。
したがって、離婚時における取り扱いも原則的には財産分与ということになります。
もちろん、そのままでは分け合うことができませんので、解約して返戻金を分割するという形になります。
しかし、実際にはそのような取り扱いをせず、学資保険は満期が来るまでそのままというケースが多いようです。
「こどもの教育資金はそのままにしてあげたい」と考える人が多いということなのかもしれません。
また、途中で解約をすると、元本割れになってしまう可能性が高いということも理由として考えられます。
なお、そのまま契約を続行する場合でも、その受取金を養育費に含めることはできません。
離婚に伴い親の片方からもう一方へ払うべき養育費を、学資保険があるからという理由で減額することはできないということです。
最後に
離婚後も学資保険の契約を続行するケースで、契約者と親権者が異なっている場合には注意が必要です。
知らぬ間に途中解約されていたり、スムーズに満期金や一時金を受け取ることができなかったりといったトラブルの原因となりやすいからです。
トラブル防止のため、そのような場合には離婚前に親権者=契約者となるよう契約を変更しておくことをおすすめします。