医療保険の保険者と被保険者について

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はじめに

公的な医療保険には「保険者」と「被保険者」が存在します。
「保険者」とは事業を運営していくために保険料徴収を行ったり、保険を給付したりする組織のことを指します。
一方、「被保険者」とはその保険に加入して、負傷したり病気になったりしたときに給付を受ける側の人のことを言います。
今回は、この両者について保険の制度別に詳しく見ていくことにしましょう。

それぞれの保険者と被保険者

具体的な保険制度の例を挙げつつ、その運営組織や加入者を紹介します。

健康保険

保険者には、全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合(組合健保)の2種類があります。

前者は、保険者としては日本最大の規模を持ちます。
中小企業のほとんどはこの「協会けんぽ」に加入していて、その数は2017年現在でおよそ200万事業所に上ります。

後者は、社員数が常時700名以上の企業が国の認可を受けて自前で設立する組織です。
社員数が合計で常時3000名以上いる場合であれば、複数の企業が合同で設立することもできます。
組合数(保険者数)は2017年3月末の時点で1399組合となっています。

健康保険の被保険者は「協会けんぽ」あるいは「組合健保」に加入している事業所で働いている人となります。
なお、健康保険など国民健康保険以外に関しては、被扶養者についても保険の給付が行われます。
「被扶養者」とは被保険者によって生計を維持されている直系尊属や配偶者、兄弟姉妹、子どもや孫のことを指します。

健康保険における被保険者の数は、2017年3月末の時点で「協会けんぽ」がおよそ2200万人(被扶養者を含めるとおよそ3800万人)、「組合健保」がおよそ1600万人(被扶養者を含めるとおよそ2900万人)となっています。

船員保険

こちらも保険者は協会けんぽとなっています。

被保険者は、船舶所有者(船員を使用する人のことで、実際の所有者とは限りません)に使用される船員となります。
船員保険における被保険者の数は、2017年3月末の時点でおよそ6万人(被扶養者を含めるとおよそ12万人)です。

共済組合

保険者は、国家公務員や地方公務員あるいは私立学校の教職員などが作る共済組合で、その数は2017年3月末時点で85となっています。

被保険者は、国家公務員・地方公務員・私立学校の教職員です。
2017年3月末時点の被保険者数はおよそ450万人(被扶養者を含めるとおよそ870万人)となっています。

国民健康保険

保険者は、各市区町村および国民健康保険組合(同種の事業や組合の従業員が組織する組合)です。その数は2017年3月末時点で1879(市区町村1716・国民健康保険組合163)です。

被保険者は、自営業者や退職者など「健康保険、船員保険、共済組合の被保険者およびその被扶養者以外」の人で、かつ後期高齢者医療制度の対象とならない人です。
2017年3月末時点の加入者数は、およそ3300万人となっています。

後期高齢者医療制度

保険者は、後期高齢者医療広域連合で47都道府県に1つずつあります。

被保険者は、75歳以上の人もしくは65~74歳で一定の障害状態にあると認定された人となり、2017年3月末時点でおよそ1600万人が加入しています。

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