- 2020-2-23
- 医療保険
はじめに
病院で処方箋を貰い薬を購入する場合、自己負担は1~3割で残りは税金や保険料から賄われますが、市販薬は全額自己負担です。
政府は全世代型社会保障改革の一環として、市販薬だけでなく市販品類似薬について公的医療保険の対象から除外する方向へ調整に入りました。
想定しているものは風邪薬や湿布薬、花粉症治療薬、皮膚保湿剤、漢方薬などの軽症薬です。
これらの薬を市販品より安く入手する目的で患者が病院で受診するケースは多く、かねてより過剰な受診を招く要因になっていると指摘されていました。
政府はそれらを自己負担にすることで医療費抑制につなげたい考えです。
医療費控除とは
基本的に1年間のうち、自己負担した医療費が10万円を超えたときに「所得控除」を申請することができる制度です。ただし総所得が200万円未満の場合は自己負担額が総所得の5%を超えることでも申請可能です。
上記を利用することにより、支払った医療費に応じて課税所得が少なくなるため支払う税金が安くなります。
また医療費については個人分だけではなく、生計を一にしている家族分も合算することが可能となっています。
自分の健康は自分で守る
平成29年1月1日に施行された医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」。
健康のための取組(予防接種や健康診断の受診など)を受けている人であり、特定の市販薬の購入金額が一定の基準を超えた場合に所得控除を受けられるというものです。
下記でより具体的に見ていきましょう。
世帯での年間購入額が1万2千円以上の場合に制度の利用が可能で、それを超えた部分の金額を控除額(8万8千円を限度)とします。
ここでいう特定の市販薬とはスイッチOTC医薬品で、一般用医薬品及び要指導医薬品のうち、医療用から転用された医薬品を指します。
厚生労働省HPに対象の医薬品が掲載されていますが、対象の市販薬には識別マークが付けられており、セルフメディケーションと書かれた左下に錠剤、右下にカプセルが描かれており、錠剤に税、カプセルに控除対象と書かれています。
ドラッグストア等で医薬品を購入する際にはセルフメディケーション税制対象商品であるかの確認や、レシートを保存して確定申告を行いましょう。
ちなみに通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を併用することは不可であり、どちらかを選択しなければなりません。
しかし、医療費控除は医療費の自己負担額が10万円超、もしくは総所得の5%超で適用される一方で、セルフメディケーション税制の控除対象はOTC医薬品購入金額が1万2千円超からと、比較的申請の敷居が低くなったといえるのではないでしょうか。
最後に
冒頭でも触れましたが、症状の軽い病気であれば病院などの医療機関を受診するのではなく、医療用医薬品と同じ成分を含んだ市販薬(OTC医薬品)を活用し健康管理を行うことで医療費を減らそうという意図があります。
また「自身の健康管理や疾病予防の意識を高める」という意味での「セルフメディケーション」を推進したいという狙いもあるのです。