年金の合意分割について

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はじめに

2020年は「コロナ離婚」という言葉も世の中で出回りましたが、日本の離婚率は以前に比べればやや減少傾向にあるそうです。
しかし、そんな中でも増えているとされるのが結婚して何十年も連れ添った後に離婚となるケース。
いわゆる「熟年離婚」ですね。
このような場合、年金を分割できることはご存知でしょうか?
以下では合意分割という年金の制度について説明していきたいと思います。

年金の合意分割

ではさっそく制度の概要について見ていきましょう。
この制度では夫婦が離婚した場合、年金を分けあってそれぞれで受け取ることができるようになります。
ただし、そのためには分けあう割合(最大で5割)などについて双方で話し合い、合意する必要があります。
これが合意分割と呼ばれる制度です。
ここで気をつけておかなければならないのは、分けあうことができるのは厚生年金だけで、しかも結婚している期間に相当する部分だけということです。

たとえば、会社勤め(第2号被保険者)の夫と、その夫に扶養されている妻(第3号被保険者)のケースで夫の年金総額が月あたりで約160000円だと仮定します。
その中で厚生年金に該当する額が約95000円で、さらにそのうち結婚期間に相当する額が約60000円だったとしましょう。
この夫婦が5割の割合で年金の分割に合意したとします。
すると、妻が受け取れる分は月額にして30000円ほどということになります。
このように、2人分の年金をすべて合算してそれを分けあうということではありませんので、この点には注意が必要です。

3号分割

夫もしくは妻のどちらかが専業主夫あるいは専業主婦などの第3号被保険者で、もう一方の第2号被保険者に扶養されていた場合は少し事情が異なります。
この場合、結婚期間に相当する額の厚生年金は、請求さえ行えば合意がなくても自動的に分割されることになっています。
割合は5割です。
この制度は3号分割と呼ばれます。
ただし、この制度は2008年4月1日以降に支払った保険料に対応する額のみに適用されます。

なお、いずれの制度にしても分割を行うためには年金事務所への請求が必要になります。
また、請求には期限があり、離婚から2年以内に手続きを行わなくてはなりません。

最後に

今回は、離婚した夫婦間で年金を分割する制度について紹介しました。
結婚期間中に取得した財産は二人が共同で築き上げたものであり、離婚の際には貢献度に応じて分配できることになっています。
これは財産分与と呼ばれる仕組みですが、年金についてもその対象となるため、今回紹介したような分割の制度が導入されているのです。

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