企業年金におけるポータビリティ制度について

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はじめに

年金にも「ポータビリティ」があります。
企業年金におけるポータビリティ制度のことです。
今回はこのテーマについてお伝えします。

年金のポータビリティ制度とは?

ポータビリティ(Portability)を日本語で言うと「可搬性」という意味になります。
これだと少しわかりにくいかもしれませんが、より簡単な言葉で表すと「持ち運びできること」というような意味です。
このポータビリティはIT業界でも使われる言葉ですが、一般の方にとってなじみが深いのは携帯電話番号のポータビリティではないでしょうか。
いわゆるMNP(Mobile Number Portability)と呼ばれる制度のことですね。

ところが、ポータビリティ制度があるのはIT業界や携帯電話の世界だけではありません。
年金にもポータビリティという制度があります。
ただし、国民年金や厚生年金といった公的年金の話ではありません。
年金におけるポータビリティとは、企業年金のために設けられている制度のことです。

企業年金とは、企業における福利厚生制度の一つで、掛金はすべて企業側が負担します。
この点において公的年金とは大きく異なっており、従業員は60歳以降にその運用益を受け取るというのが一般的なパターンです。
運用のやり方としては、企業側が運用を行い、利率があらかじめ保証されているタイプのものと、従業員が自身で運用を行うタイプのものとがあります。
前者は確定給付年金、後者は確定拠出年金と呼ばれます。
なお、後者に関しては、運用を自身で行うため、老後にどれだけのお金を受け取ることができるかはその運用成績次第で、場合によっては元本割れする可能性もあります。

ところで、ある企業に勤めたとしても、定年までそこで働き続けるかどうかはわかりません。
終身雇用という言葉も時代遅れになりつつあり、転職をする人の数もかなり多くなっています。
このように途中で退職することになった場合、それまで積み立てられてきた企業年金の掛金は一時金の形で受け取ることになります。
しかし、その掛金は本来、老後の生活のためのもの。
それ以前に受け取ってしまっては本来の目的を果たすことができません。

そこで、途中退職する場合にはその掛金をiDeCo(個人型確定拠出年金)や転職先の企業年金へ移すことができるような制度が設けられました。
この制度こそが、企業年金におけるポータビリティ制度なのです。

まとめ

この記事では、企業年金におけるポータビリティ制度について説明しました。
この制度は、途中退職する際にそれまで勤めていた企業における企業年金の掛金を別の企業年金やiDeCoなどに移すことができる仕組みのことです。
なお、ポータビリティを利用するための手続きは企業によって異なり、期限も設けられているのがふつうです。
このため、企業年金におけるポータビリティ制度の利用に際しては、勤め先の担当者まで手続きの方法などについて問い合わせを行ってください。

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