- 2022-4-26
- 個人年金・年金
通常年金は65歳から受給する事が出来ます。しかし、長生きする事を前提として考えるならば元気なうちは働いて年金受け取り年齢を繰り下げし、老後の年金を増やしたいと考える方もおられるでしょう。今回は、年金の繰り下げについて深掘りしていきたいと思います。
繰り下げとは?
”繰り下げ”とは、65歳から貰う事が出来る年金を66歳以降に遅らせる事で、一生涯増額した年金を貰う事を指します。特別支給の老齢厚生年金は、65歳前に貰える厚生年金を言いますが、注意点としてこちらの年金は繰り下げが出来ません。繰り下げが出来るのは65歳から貰える老齢基礎年金と、老齢厚生年金です。
繰り下げの例
繰り下げは、例えば65歳から貰える年金を66歳で繰り下げて貰うとすると、65歳から66歳になるまでは一切貰えません。そのかわりに、66歳からは増額された老齢基礎年金、老齢厚生年金それぞれ増額された年金が貰える仕組みです。
ここで繰り下げをして増える年金額の確認をしていきましょう。繰り下げを行うと、1ヵ月当たり0.7%増額となります。
66歳 8.4%
67歳 16.8%
68歳 25.2%
69歳 33.6%
70歳 42%
1年待って66歳から年金を受給すると、8.4%増額した年金が貰えます。
最大84%増額!?
年金は令和4年4月の法改正で、現在は最長75歳まで繰り下げが可能となりました。(昭和27年4月2日以降生まれの方)
71歳 50.4%
72歳 58.8%
73歳 67.2%
74歳 75.6%
75歳 84%
最大10年の繰り下げ、0.7%×120ヵ月で最大84%増額が可能です。ここで実際に、繰り下げた場合の年金額を計算してみましょう。
65歳(元会社員)老齢基礎年金が年額60万、老齢厚生年金が年額120万円。
66歳0ヵ月で年金を繰り下げて貰った場合は?計算内容は次の通りです。
老齢基礎年金60万円×108.4%=650,400円
老齢厚生年金120万円×108.4%=1,300,800円 トータル 1,951,200円
1年繰り下げると、180万円の年金が151,200円増えて、1,951,200円に増額されるという計算です。では10年繰り下げをすると、どのようになるでしょうか。
老齢基礎年金60万円×184%=1,104,000円
老齢厚生年金120万円×184%=2,208,000円 トータル 3,312,000円
10年繰り下げると、180万円の年金が1,512,000円増えて、3,312,000円になります。
繰り下げ受給の補足
老齢年金は、繰り下げ受給の開始時期を66歳から75歳までの月単位で選ぶ事が出来ます。受給開始時期を繰り下げるごとに、ひと月ごとに0.7%きざみで増額します。
また、老齢基礎年金と老齢厚生年金で、受給開始時期を変える事も可能です。繰り下げ受給は、75歳までの希望した時期に手続きを行う事で、請求された月の翌月分から、繰り下げ増額された年金を生涯にわたって受け取る事が出来ます。年金を繰り下げる事で、社会保険料や税金が上がる事があるので注意が必要です。
繰り下げできないその他の年金
繰り下げ不可な年金は、その他にも2つあります。それは、遺族年金と障害年金です。遺族年金は、年金に加入していた方が亡くなった時に、配偶者や子供などの遺族に対して生活を保証する目的で支給される公的年金です。
障害年金は怪我や病気によって、日常生活能力に支障をきたした方に対して支給される公的年金です。手足や耳、眼などの障害だけではなく、長期で療養が必要な「がん」や「糖尿病」の病気も支給の対象です。
最後に
老齢年金の受給開始時期は、法改正で75歳までになりました。65歳以上も元気に働けるうちは、繰り下げを行い年金を増額させた方が賢明と言えます。ただし、年金の繰り下げをすると社会保険料や税金が上がる事があるので、そこは注意が必要です。