- 2025-6-29
- 個人年金・年金

老後の生活を支える柱となる公的年金。しかし「そもそも自分に年金をもらう資格があるのか」「過去に払っていない期間があったけど大丈夫なのか」など、年金の受給資格について不安や疑問を抱える方は少なくありません。年金制度は複雑な要素が絡み合っているため、基本的なルールを押さえることが大切です。この記事では、公的年金の受給資格について、国民年金・厚生年金それぞれの視点から丁寧に解説し、安心して将来設計を描けるようお手伝いいたします。
目次
- 公的年金制度の基本的な仕組み
- 老齢基礎年金(国民年金)の受給資格
- 老齢厚生年金の受給資格
- 受給資格期間の短縮と特例制度
- まとめ
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公的年金制度の基本的な仕組み
日本の公的年金制度は、**「2階建て構造」**と呼ばれる仕組みになっています。1階部分が国民全員を対象とする「国民年金(基礎年金)」で、20歳から60歳までのすべての人が原則加入します。2階部分は主に会社員や公務員が加入する「厚生年金」で、会社などを通じて自動的に加入する形です。
つまり、すべての人が1階の国民年金を土台にして、就業状況に応じて厚生年金にも加入しているという構造です。この仕組みを前提に、年金をもらうために必要な「受給資格」について見ていきましょう。
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老齢基礎年金(国民年金)の受給資格
まず、すべての人が対象となる老齢基礎年金についてですが、原則として10年以上の加入期間(保険料納付済期間または免除期間などを含む)が必要です。
この「10年」というのは、2017年8月からの制度改正によって従来の「25年」から大幅に短縮されたものです。したがって、過去に「25年も払っていないからもらえない」とあきらめていた方も、再度自分の加入状況を確認してみる価値があります。
なお、受給開始年齢は原則65歳です。保険料を納めた期間、免除された期間、学生納付特例期間、合算対象期間(いわゆるカラ期間)なども含めて10年以上になれば、年金の受給資格が得られます。
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老齢厚生年金の受給資格
厚生年金は、会社員や公務員が加入している制度です。老齢厚生年金は、国民年金の受給資格を満たしている人が対象となり、その上で1か月以上でも厚生年金に加入していた期間があれば支給対象になります。
厚生年金の受給資格自体は、国民年金と共通しているため、まずは「基礎年金をもらう資格があるかどうか」がポイントです。厚生年金に加入していた期間が長ければ長いほど、支給される年金額は増えていきます。
また、厚生年金の被保険者期間中の報酬額や標準報酬月額によっても年金額が異なるため、会社勤めをしていた年数や収入が老後の年金額に直結していることを理解しておくと良いでしょう。
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受給資格期間の短縮と特例制度
2017年以前は25年(300月)以上の加入が受給の前提でしたが、法改正によって10年(120月)以上の加入でも受給できるようになりました。これにより、多くの人が受給資格を得ることができるようになりましたが、実際には「免除された期間」や「合算対象期間」が正しくカウントされているかを自分で把握しておくことが重要です。
また、60歳以降でも保険料を納めたり、任意加入制度を利用したりすることで、10年の条件を満たすことも可能です。特に、自営業やフリーランスの方で過去に未納がある人は、市区町村の年金相談窓口で記録を確認することをおすすめいたします。
さらに、海外で暮らしていた期間がある方などは、合算対象期間としてカウントされるケースもあります。自分の履歴と照らし合わせて、納付状況を確認することが、受給に向けた第一歩です。
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まとめ
年金を受け取るためには、国民年金であれば10年以上の加入歴があることが条件であり、それには保険料の納付だけでなく、免除期間や合算対象期間も含まれます。厚生年金は、この国民年金の受給資格を満たしていることが前提となり、そのうえで勤務していた期間に応じて金額が計算されます。
一見すると複雑な制度ですが、定期的に届く「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自分の加入履歴を確認することができます。また、不明点があれば最寄りの年金事務所で相談することもできます。
年金の受給資格は、「ある日突然決まる」ものではなく、これまでの積み重ねで決まります。そして、制度の改正や特例制度をうまく活用することで、思っていたよりも早く、そして確実に受給につなげられることもあります。将来の安心のために、まずは自分が年金を受け取れる立場にあるかどうかを、早めに把握しておくことが何より大切です。