保険によって違う特定疾病~医療保険と生命保険の場合~

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はじめに

保険において通常の病気とは違った特殊な扱いがなされる病気のことを「特定疾病」と言います。
よく知られているのは介護保険領域におけるもので、該当する病気(末期がんなど全部で16種類)により介護が必要な状態になれば保険給付を受けることができます。
ところで、この「特定疾病」は介護保険領域だけにあるものではありません。
公的医療保険だけでなく民間の生命保険にも存在しており、それぞれ異なる病気が指定されています。
今回は、その医療保険領域と生命保険領域の「特定疾病」について紹介します。

公的医療保険の場合

以下のような病気が該当し、医療費の負担を軽減するための措置が設けられています。

該当する病気

人工腎臓(主として人工透析)の施されている慢性腎不全、血友病、後天性免疫不全症候群(2次・3次感染を含む血液製剤によるもので、抗ウイルス薬が投与されているもの)が該当します。
一般的にこれらの治療には長い年月がかかり、治療費も相当高額になってしまうため、その負担を軽減するための措置が図られています。

負担軽減措置

これらの病気に該当する場合、健康保険組合などの保険者に申請することで「特定疾病療養受療証」が交付されます。
これを医療機関に提示すれば、ひと月当たりの自己負担額(医療機関ごと)の上限が1万円となります。
ただし、70歳未満の慢性腎不全の患者さんで一定以上の所得(標準報酬月額53万円以上)がある場合の上限は2万円です。

生命保険の場合

以下のような病気が該当し、その病気のために保険会社が指定する状態となったときには保険金が支払われます。
このような商品は「特定疾病保障保険」と呼ばれます。

該当する病気

がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)が該当します。
これらの病気にかかって保険会社の指定する状態になったときには保険金が支払われます。
なお「指定する状態」は会社によって異なりますが、「一定期間以上、仕事ができなかったり後遺症が残ったりした状態」などとなっていることが多いようです。

「特定疾病保障保険」の特徴

保険の期間としては、終身と定期の2つのタイプがあります。
前者では生涯にわたって、後者ではあらかじめ定められた期間にわたって保障がなされます。
一般的には保険期間中に「特定疾病により会社指定の状態になった場合」もしくは「亡くなった場合」、または「高度の障害状態になった場合」に保険金が支払われます。
なお、保険金が支払われれば、その時点で契約は終了となります。

メリットとデメリット

最近では入院の期間が短くなる傾向にあり、場合によってはがんの治療ですら日帰りで行われるケースもあります。
このような中、支払事由に当てはまりさえすれば入院の有無や期間に関わらず保険金が支払われるという点は、メリットと言えるでしょう。
その半面、デメリットとしては一度保険金が支払われれば契約が終了するため再発に備えることができない点や、先進医療特約を付けることができない点などが挙げられます。
なお、商品によっては「特定疾病により会社指定の状態になった場合」のみに保険金が支払われ、それ以外の理由で死亡したり高度障害状態になった場合には保険金が支払われないタイプのものもありますので、加入の際はご注意下さい。

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