受け取り方で年金受給額が増える?老齢年金の繰り下げ

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2022年4月に年金制度の改正によって老齢年金の繰り下げ受給年齢の上限が10年となりました。ひと月あたり0.7%で最大84%の増額が可能となっています。この記事では、年金の繰り下げ受給について、どのような受け取り方なのか詳しく解説します。

老後への備え

少子高齢化の現代「今後の年金支給額が減額される」とも言われ、多くの人が不安を抱えているのではないでしょうか。総務省の調査によって老後の20年から30年で2,000万円が必要になると発表され、自助努力で老後資金を備えるようにと国が大々的に推奨しています。

貯蓄や退職金のない方にとっては、65歳の前に年金を受け取れる「繰り上げ受給」は生活の支えとなるでしょう。しかし、0.4% または 0.5%の減額となり、一度開始すると生涯変更ができないため、慎重な判断が必要になります。

繰り下げ受給

近年は65歳を過ぎても働く「高齢者就労」が拡大しています。それに伴い老齢年金繰り下げ受給上限が引き上げられ、70歳から75歳になりました。対象は令和4年3月31日時点で70歳未満の方か、老齢年金受給権の取得日から5年が経過していない方となっています。

メリット

受給開始時期を自由に選択でき、ひと月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額となります。一年繰り下げて66歳で受給を開始した場合は 0.7×12=8.4% の増額となります。最大10年繰り下げて75歳で受給を開始する場合には 8.4×10=84% 増額され、その額は生涯継続します。

デメリット

高齢になるほど病気のリスクが高まります。長生きできなかった場合、年金の総受給額は少なくなります。健康で長生きして就労を続けている場合には、税金や社会保険料などの負担が増えると言えます。厚生年金の扶養手当に当たる加給年金が受け取れなくなる場合があります。

損益分岐点と効果を考慮する

長生きできればメリットが大きくなることは分かりますが、長生きできるかどうか事前に知ることは難しいと言えます。65歳から受給する場合と70歳から受給を始める受給総額を上回る損益分岐点は81歳になります。65歳と75歳の場合では86歳となります。

国民年金のみの世帯より、元々の年金額が大きい厚生年金加入世帯の方が増額メリットは大きくなります。配偶者ありの世帯では、夫婦いずれかの繰り下げ受給もしくは両方とも繰り下げ受給するのか、生活資金と見合わせた考慮が必要になります。

最後に

年金受給繰り下げの最大84%増額は大きなメリットになります。65歳を過ぎても就労できるかどうか、退職金や貯蓄の有無などを踏まえて慎重に考慮する必要があります。病気リスクや健康寿命も考慮した老後資金の備えについては、専門家への相談もおすすめします。

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