年金のマクロ経済スライドとは何か?

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はじめに

「マクロ経済スライド」という言葉はご存じでしょうか?
「報道などで耳にしたことは何回かあるし、なんか年金の話らしいけど、詳しい内容まではわからない」
という方も意外に多いかもしれません。
そこで今回はこのテーマについて詳しく見ていくことにしましょう。

マクロ経済スライドとは何か?

この仕組みをわかりやすくひとことで言えば、「将来、支給される年金を減らすための仕組み」ということになります。
現役世代の人なら、年金保険料を納付書などを使って自分で納めたり(国民年金の場合)、給料から天引きされていたり(厚生年金の場合)すると思います。
これを、将来自分が貰うはずの年金を言わば「積み立てている」ように思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。
今、現役の人たちが納めている年金保険料は、現在の受給者の方に支給する年金の「源」になっているのです。
つまり、現役の人たちから集めた保険料を、今現在の高齢者の人たちに配る形になっているわけです。
ところが、日本は少子高齢化がどんどんと進んでいっています。
「年金を貰うほう」はどんどん増えていくのに、「その財源を支払うほう」はどんどん減っていっているわけです。
当然、このままでいくと制度は行き詰ってしまうでしょう。
そこで導入されたのが、この「マクロ経済スライド」という仕組みなのです。

と言っても、これはいつも適用されるものではありません。
スライドが行われるのは、物価や賃金の水準がある程度上向いたときです。
年金は、物価や賃金の変動に合わせて支給額が調整されるようになっています。
そこで、物価や賃金の水準が上向いたときにスライドを行うことで、年金支給額の上げ幅を抑え、そうすることで現役の人たちの負担を軽減したり、制度の維持を図ろうという仕組みになっているわけです。
実際に2019年度に支給される年金は、物価や賃金水準の上向きに伴い本来であれば0.6%のアップとなるところでしたが、2014年以来2度目のスライドが行われ0.1%のアップにとどまっています。

最後に

これから先もスライドが行われていけば、年金のアップ率と物価や賃金の上がり具合との間でギャップが広がっていくことになります。
つまり、実質的に貰える年金の額が減っていってしまうということです。
若い世代ほど、将来の年金はあてにできないと思っておいたほうが良いかもしれません。
なんらかの形で自分を助ける術を考えておくべきでしょう。
そのような自助のための手段としては、「個人年金保険」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」などがあります。
具体的にどちらが良いのか、あるいはそれぞれの中でもどのようなタイプの商品がおススメなのかといった点は、個人的な事情やニーズなどによって変わってくると思いますので、信頼できる保険の専門家に相談してみてはどうでしょうか。

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